SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024が開幕!毎熊克哉は主演映画『初級演技レッスン』が「自分の代表作になる」と宣言
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024が7月13日に開幕し、オープニングセレモニーおよびオープニング作品である串田壮史監督作『初級演技レッスン』のワールドプレミア上映が開催。国際コンペティション部門で審査委員長を務める映画監督の白石和彌、国内コンペティションの審査委員長を務める映画監督の横浜聡子をはじめとする審査員陣、国内外から集まったコンペティション部門のノミネート監督らが登壇した。また、串田監督、主演の毎熊克哉、大西礼芳、岩田奏、串田監監督らによる『初級演技レッスン』の舞台挨拶も開催された。
オープニングセレモニーでは、主催者の大野元裕映画祭実行委員会会長(埼玉県知事)、奥ノ木信夫映画祭実行委員会副会長(川口市長)、細野博隆映画祭実行委員会委員(川口商工会議所会頭)も登壇し、21回目の映画祭開催を祝して挨拶。また、土川勉ディレクターより、白石監督、横荒木美也子(アスミック・エース株式会社 社長特命事項担当プロデューサー)、武井みゆき(配給会社ムヴィオラ代表)ら3名の国際コンペティション審査員、横浜監督ほか、川瀬陽太(俳優)、メイスク・タウリシア(映画プロデューサー)の3名の国内コンペティション審査員、ならびにコンペティション部門ノミネート作品が紹介された。
オープニング作品『初級演技レッスン』は、即興演技を通じて人々の記憶に侵入する男が、夢と現実のはざまである奇跡に出会う物語。2020年に『写真の女』で本映画祭SKIPシティアワードを受賞し、昨年も『マイマザーズアイズ』が2作品連続で国際コンペティションにノミネートされた串田監督の最新作となる。
ワールドプレミアとなった本作について串田監督は「あえて作品の情報を出してこなかったです。ファミリー映画かもしれないし、ミュージカルかもしれない。演技のレッスンビデオかもしれないし、なにが出るかわからない」と、作品内容についての言明は避け、「とにかくなんの情報も入れないその状況を楽しんでもらいたい」と語った。
主演の毎熊は、本映画祭2011短編部門で奨励賞を受賞し、のちに長編映画化もされた『ケンとカズ』の主演も務めたが、当時は会場に来ることが叶わず、小路紘史監督が1人での登壇となった。13年越しの本映画祭参加となったことについて毎熊は「『ケンとカズ』は自分にとって人生が変わった映画で、そのおかげでこれまでいろいろと続けてこられた。そして『初級演技レッスン』は間違いなく自分の代表作になると胸を張って言える作品。SKIPシティにはなにかの節目で補佐してもらっていると感じていて、とても感慨深いです」としみじみと語った。
また、本映画祭2014短編部門ノミネート作品『時ノカケラ』(14)で主演を務めた大西も、本作で10年ぶりの映画祭参加となった。『時ノカケラ』は、大学を出て上京してすぐの作品だったので、不安の多い毎日だったと振り返り「まだ映画に参加させてもらえていますよ、と10年前の自分に言ってやりたい」と10年越しのカムバックに喜びの表情を見せた。
父を亡くした子役俳優を演じる期待の若手である岩田は、本映画祭に初参加となり、やや緊張気味の面持ちだった。台本を一読した当初を振り返り「頭の中で映像化するのが難しくて、どうなるんだろうか」と不安と期待の入り混じった日々を送っていたが、監督から「演技レッスンという場がとても不思議でおもしろい空間だ」という話を聞いて共感し、実際に演じてみたらとても楽しかったと充実の笑顔を見せた。
本作が長編3作目となった串田監督は、“出品可能なのは長編3作目まで”という本映画祭の規定から本作をもってSKIPシティへのエントリーは卒業となる。串田監督はこれまでを振り返りながら「最高の花道を用意していただいたので、こちらも最高の作品で応えようと思って制作した」と、自信を覗かせた。
最後に『初級演技レッスン』の魅力を改めて尋ねられたキャスト陣。岩田は映画のもつ空気感を、そして大西は「“反復” の魅力を感じ取ってほしい」とアピール。主演の毎熊は「気づいたら終わっているような体感。理屈じゃないものがたくさん写っていて、それをどう受け取っていただくか、とても楽しみです」と締めくくった。
本映画祭は、7月21日(日)までの9日間、埼玉県川口市のSKIPシティを会場にしたスクリーン上映、7月20日(土)から24日(水)までの5日間は、特設サイトでのオンライン配信として、ハイブリッド形式で開催される。
文/山崎伸子