【ネタバレレビュー】山田孝之vs特殊部隊の死闘!そして最大の悲劇が描かれる「七夕の国」第8話
幸子の慟哭に胸が締め付けられる…そして残された新たな“カギ”
いっぽう頼之と高志も密かに里に戻っていた。ナン丸たちが来るとも知らず、彼らは隆三のもとを訪問。驚く家政婦をしり目に勝手に屋敷に上がり込み、隆三と対面した。そこで頼之は建設会社の社長を殺害した時、里を離れて4年もの月日が経ちながら自分がこの地に囚われ自由になれないことを改めて悟ったことを明かす。根本を覆し悪夢を終わりにしなければならない、と。淡々としたなかに強い決意あふれる語り口は山田孝之の真骨頂。そんな頼之を「やけくそにしか見えねえ」とたしなめる隆三に、何百年にわたって行われてきたこと、おそらく七夕祭りがただの「大間抜け」だと判明するかもと返す頼之。その言葉から隆三は、頼之の真意を確信した。
すべての核心に触れる瞬間が訪れたと思われた次の瞬間、物語は怒涛の展開になだれ込む。頼之と決別した増元(深水元基)が部隊を率いて隆三の屋敷を取り囲み、自動小銃を手になだれ込んできたのだ!武器商人や裏の仕事屋として暗躍してきた増元だが、まさか特殊部隊まで指揮するとは…。容赦なく銃を撃ちながら迫りくる隊員に“●(まる)”で応戦する頼之と高志。これまで謎解きを軸に展開してきた物語が、いっきにアクションへとシフトする。湧き出るように押し寄せてくる隊員たちに、動じることなく大小様々な“●”を次から次に繰りだしていく頼之。そのスキルの高さに舌を巻くが、応戦する2人の姿に漂うのは爽快感ではなく悲壮感。テロリスト認定された頼之をつぶしにかかる権力サイドの容赦のなさが、あらゆるものを破壊していく隊員たちの行動を通しひしひしと伝わってくる。
そして一瞬の油断から何発もの銃弾を浴び「まじでやばい」とつぶやきながら倒れ込む高志。第7話では幸子への詫びの言葉をナン丸に託す姿が描かれたが、死を前に頼之にも妹への伝言を託そうと必死に言葉をつなぐ姿に彼の想いがあふれでる。駆け付けた幸子が血まみれの兄と対面し泣き叫ぶ姿に、東丸家を襲った悲しい運命に思いを馳せずにいられない。やわらかい日が射し込む竹林の幻想的なロケーションも相まって、悲しくも美しいシーンになっている。
頼之の想いを悟った隆三も殺され謎の行方も遠のいたと思われたが、彼の屋敷で江見は頼之が扉に触れた時につけた血まみれの手の跡を見て衝撃を受ける。小指の横にもう一本親指が生えた彼の手形は、丸神の里に伝わる“かささぎの旗”のかささぎそのものだったのだ。それが意味するものはなにか、そして屋敷で合流できなかった丸神教授は一連の事態にどう関わっているのだろうか?里の秘密に王手をかけますまる盛り上がる「七夕の国」。次にナン丸たちを待ち受ける展開に期待せずにいられない!
文/神武団四郎