リドリー・スコットにキャメロン…そしてフェデ・アルバレス!「エイリアン」シリーズを“監督”でたどる
異常な速さで進化する宇宙最強の生命体“エイリアン”との壮絶な死闘が描かれた『エイリアン』(79)から45年。これまで複数の続編や関連作品が次々と生みだされてきた「エイリアン」シリーズの最新作にして、原点である第1作の“その後の物語”を描く『エイリアン:ロムルス』が9月6日(金)より公開される。そこで本稿では、これまでのシリーズ作を手掛けてきた偉大な監督たちを一気に振り返っていこう。
“エイリアン”の存在を世に知らしめた第1作『エイリアン』で監督を務めたのは、後に『ブレードランナー』(82)や『グラディエーター』(00)といった名作を生みだし、86歳を迎えた現在も第一線で活躍するリドリー・スコット監督。まさに“エイリアンの創造主”といえるスコット監督は、前日譚にあたる『プロメテウス』(12)とその続編『エイリアン:コヴェナント』(17)でもメガホンをとっている。
宇宙探索に向かったリプリー(シガニー・ウィーバー)たちが、エイリアンに遭遇する恐怖の瞬間をまざまざと映しだした同作。突如襲いかかってきたかと思えば人間に寄生し、勢いよく胸を突き破ってくる描写をはじめ、トラウマ級な戦慄シーンの連続に全世界が震撼。エイリアンの不気味なクリーチャーデザインも話題を呼ぶなど、いまでもレジェンド的作品として語り継がれている。
7年ぶりのシリーズ第2作となった『エイリアン2』(86)は、後に『タイタニック』(97)や「アバター」シリーズを手掛ける、言わずと知れた世界的ヒットメーカーのジェームズ・キャメロンが監督を務めた。キャメロン作品の醍醐味でもある臨場感たっぷりの映像と共に描かれる、主人公のリプリーと少女ニュート(キャリー・ヘン)の絆を描くドラマ性の高さで、シリーズの人気は絶対的なものに。
その後『エイリアン3』(90)ではいまや現代ハリウッドを代表する監督のひとりにまで成長したデヴィッド・フィンチャー監督が長編監督デビューを飾り、『エイリアン4』(97)は後に『アメリ』(00)を手掛けるジャン=ピエール・ジュネ監督が、ハリウッドに渡って手掛けた。
このように名だたる監督たちの出世作として、世界中の映画ファンから熱視線を浴びてきた「エイリアン」シリーズ。最新作『エイリアン:ロムルス』の監督に抜擢されたのは、リブート版『死霊のはらわた』(13)や「ドント・ブリーズ」シリーズの鬼才フェデ・アルバレス監督。自身も「エイリアン」シリーズの大ファンだというアルバレス監督は、歴代作品への有り余る愛を注ぎ込みながら、これ単体でも楽しめる作品に仕上がったと強い自信をのぞかせている。
今作では地球から遠く離れた宇宙、人生の行き場を失った6人の若者たちが生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”が舞台となる。そこで彼らを待ち受けていたのは、寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化するエイリアン。その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃することもできない…。はたして彼らは極限状態のなかで逃げ切ることができるのか。観客の恐怖を煽る演出に長けたアルバレス監督の手腕に注目しながら、広大な宇宙の密室で起こる究極のサバイバルを目撃してほしい。
文/久保田 和馬