「目に心においしい」「いつまでも青春できると思える作品」映画ファンはWEB映画『ミライヘキミト。』をどう観た?
五感を刺激するおいしそうな食事シーンと海辺の町の景色
本作で特筆すべき点は、多くの観客の心を捉えた劇中の食事シーンだ。釜揚げシラス丼や⾦目鯛の松笠焼きなど、見るからに食欲をかきたてられそうなメニューを担当したのは、TBSドラマ「VIVANT」や映画『ゴールデンカムイ』(24)など多くの作品に携わってきたフードコーディネーターのはらゆうこ。アンケートでは「レシピを公開してください」というリクエストもいくつかあった。
「どの食事も本当においしそうで、家族で食べるからよりおいしさが増すんだろうなと思えるシーンだった」(30代・男性)
「日々忙しいなかで、走り続けなければと思ってしまいましたが、生きると実感するためのご飯、穏やかな時間こそとっくに必要なのだと感じた」(20代・女性)
「料理がとてもおいしそうで、家族みんなで作るというのがとてもよかったし、家族の仲の良さを感じた」(50代・女性)
「どの食べ物もみずみずしく映っていました」(30代・女性)
「朝から山盛りのご飯をパクパク食べていて気持ちよかった!」(20代・女性)
加えて海辺の町というロケーションについても、「青色が際立つ彩度高めの映像がきれいでした」(20代・女性)、「自然豊かで、自分も住んでみたいと思った」(40代・女性)、「普段スマホばかりで周りの景色に目がいかない日々。景色のいいところでのんびりしたいと思いました」(30代・女性)、「懐かしく、心穏やかになる心沁みる風景」(50代・女性)と高評価だった。
各世代に響いた“青春”というテーマと家族の大切さ
各話で挿入されたウルマンの名詩「青春の詩」だが、アンケートではこの詩がとても心に残ったという声が多数上がった。本作のテーマである“青春”だが、それを見慣れた紋切り型のストーリーで描くのではなく、令和を生きるあらゆる世代の物語に着地させたことで、予想外の感動が広がっていったようだ。
「人生思いどおりにならないことも多々あると思いますが、粘り強く向き合うことに、勝利が得られると思います」(20代・男性)
「骨折での入院をきっかけに、現在の仕事(看護師)を目指し、走り続けて10年の今年にこの映画を観られて、もう一度これまでの10年を振り返りたいと思った」(20代・女性)
「4つのエピソードが少しずつつながっていて、やさしい空気感のドラマをもう一度ウェブで見てみたいと思いました。常にいまが青春なのかもなーと思えました」(30代・女性)
「自身のキャリアを考える時が何度かあったが、いろんな人がいろんな形で向き合うことがあると考えさせられた」(30代・男性)
「自分も子育てがひと段落して、去年から好きなことを見つけて楽しい日々を過ごしてます。より家族の大切さに気付かされ、とても共感できました」(40代・女性)
また、各回ともヒロインたちの青春物語でありながら、何気ない日常を豊かに描くホームドラマでもある。コメディリリーフ的な父・俊夫や、ほかの男性キャラクターたちの存在感も大きかったようで、お互いに支え合う家族や、彼女たちの背中を押す人々との交流も大きな感動につながったようだ。
「家族それぞれ別々の人生を歩みつつも、根本には家族のキズナやつながりを感じられるいい作品でした」(30代・男性)
「身近な人の大切さ、すばらしさを感じられた。家族の存在っていいなと改めて思えた」(20代・女性)
「女性が就職したり、キャリアを再開したりするだけではなく、様々な道を祝福していてよかった。女性の成功を喜び、悲しみに共感して涙する男性たちもステキでした」(20代・女性)
「幸せを持続しながらも形を変えていく家族の形が印象的だった」(40代・男性)
「温かいシーンが多くて、心がゆったりしました。皆さんの豊かな表情と景色、そしておいしそうなご飯を見てお腹空きました」(30代・女性)
これらの感想を総合すると、本作は家族や友人など身近にいる人たちの大切さをかみしめる作品であると共に、人生の岐路で悩んでいる人にも響く物語となっているようだ。「悩んでいるなら、息抜きに少し観てほしい」(20代・男性)、「いまをしっかり生きる、楽しもうと思わせてくれる映画」(50代・女性)、「毎日おいしいご飯を一緒に食べて、笑って暮らしたいと思える映画」(30代・女性)、「目に心においしい作品」(60代・男性)というコメントにも大いにうなずけた。『ミライヘキミト。』は、作品公式YouTubeチャンネルから気軽に観られるので、猛暑の夏に心へのビタミン剤として、このとても温かい物語を感じ取ってほしい。
取材・文/山崎伸子