『エイリアン:ロムルス』が北米初登場No. 1で『D&W』を撃破!15周年を迎えたカルト的人気アニメが再上映で存在感

コラム

『エイリアン:ロムルス』が北米初登場No. 1で『D&W』を撃破!15周年を迎えたカルト的人気アニメが再上映で存在感

作品不足への懸念がまだ完全には拭えていないなかであっても、4週連続で1位を獲得するのはそう簡単なことではないようだ。先週末(8月16日から18日)の北米興収ランキングでは、V4がかかっていた『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)がとうとう首位から陥落。新たに首位に立ったのは、「エイリアン」シリーズの最新作『エイリアン:ロムルス』(9月6日日本公開)だ。

【写真を見る】45年前の名作『エイリアン』の“その後”が描かれる…リドリー・スコットからバトンを託されたのは、ホラー界の新たな鬼才
【写真を見る】45年前の名作『エイリアン』の“その後”が描かれる…リドリー・スコットからバトンを託されたのは、ホラー界の新たな鬼才[c]Everett Collection/AFLO

誕生から今年で45年を迎えた「エイリアン」シリーズ。その生みの親であるリドリー・スコットが手掛けた『プロメテウス』(12)と『エイリアン:コヴェナント』(17)はシリーズ第1作の前日譚であったが、今作は第1作のあとの時系列で物語が描かれていく。スコットはプロデューサーにまわり、新たに監督に抜擢されたのは「ドント・ブリーズ」シリーズを手掛けたフェデ・アルバレス監督。

初日から3日間の興収は4200万ドルとまずまず。とはいえ歴代の「エイリアン」シリーズのオープニング成績と比較してみると、『プロメテウス』に次ぐ第2位の好成績。長く続いているシリーズなので、さも大ヒット続きのように思えてしまうが、累計興収1億ドルを超えたのは同作のみで(もっとも、初期作は貨幣価値に差があるためなんとも言い難いが)、それでも当時年間20位となる1億2600万ドル止まりであった。

全世界興収は1億ドルをあっさり突破!シリーズ最高興収となるか
全世界興収は1億ドルをあっさり突破!シリーズ最高興収となるか[c]Everett Collection/AFLO

爆発的なヒットがあるわけでも、賞歴が優れているわけでもないのにこれだけ続くのは、“エイリアン”という存在の恐怖を世に知らしめたシリーズ第1作の功績の大きさにほかならないのだろう。全世界興収は当初の予想を上回り、初動で1億ドルを突破。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価も80%、観客からのそれも86%と安定したスコアをマーク。まずは国内での1億ドル到達が目標となるだろう。


また、『バービー』(23)以来1年ぶりのV4に一歩及ばなかった『デッドプール&ウルヴァリン』だが、4週目末も興収3000万ドルを記録し、週末段階で累計興収は5億4600万ドルを突破。着実に『インサイド・ヘッド2』(日本公開中)に迫りつつあるが、まだまだその差は9000万ドル弱。その『インサイド・ヘッド2』は、史上12作品目の海外興収10億ドル到達が目前。もちろんそのカギを握るのは日本での興行成績ということになる。

さて、5位にランクインを果たした作品を取り上げておきたい。日本でも人気の高い『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)のヘンリー・セリック監督がメガホンをとり、これまで手掛けた長編5作すべてがアカデミー賞長編アニメ賞候補になっているアニメスタジオ“ライカ”の初長編となったダークファンタジー『コララインとボタンの魔女』(09)が、北米公開15周年を記念して再上映を迎えた。

Fathom Events提供のもと1535館で公開され初日から3日間で961万ドルと、昨年の『ナイトメアー〜』の30周年記念上映を上回る興収を記録。実は昨年の夏にもリマスター版でのイベント上映が行われていたのだが、その時も4日間の上映で興収700万ドルを記録している。一部の層から熱狂的な支持を集めカルト的人気を博し、先述の通りアカデミー賞候補になるなど作品評価がすこぶる高い作品ではあったが、近年になってなぜか人気が再燃。こうして再上映で結果を残したことで、公開当時を含む北米累計興収は1億ドルを突破。来年に控えたライカ6年ぶりの新作『Wildwood』に向けて大きな弾みがついたようだ。


文/久保田 和馬

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