なぜ映画『シサム』は大物漫画家たちに応援されているのか?ハロルド作石×発起人対談で明かされる、公開までの道のり

インタビュー

なぜ映画『シサム』は大物漫画家たちに応援されているのか?ハロルド作石×発起人対談で明かされる、公開までの道のり

「“自分ならどうするか”と考えるきっかけになればいいなと思います」(嘉山)

アイヌ入門映画のように観てほしいとのこと
アイヌ入門映画のように観てほしいとのこと[c]映画「シサム」製作委員会

――映画を通して伝えたいこと、伝わってほしいことを教えてください。

嘉山「孝二郎が担架で運ばれるシーンでは、アイヌの人たちの担架作りを参考にしています。ほかにも傷が治った孝二郎が小屋から出てくる時に老婆が葉っぱで魔払いするシーンは、いままでのアイヌ映画にはない珍しい描写なので注目してほしいです。映画では普通にそこで暮らしていただけなのに、突如巻き込まれてしまったアイヌの村の様子が描かれています。世界ではいま、同じような出来事が起きている。他人事ではないからこそ、自分ならどうするか、そんなことを考えるきっかけになるといいなと思います」

――アイヌ入門編映画として観てほしいとのことですが、確かに、観やすさ、わかりやすさを感じました。

嘉山「『ゴールデンカムイ』とは別の切り口でアイヌの人たちのことをちょっとでも知っていただくきかっけになればいいなと。興味を持ったら、北海道に行くもよし、本を読むでもよし。知る方法はいくらでもあるので、映画がそのきっかけになればと思っています」

担架のシーンではアイヌの人たちの担架作りを参考にしたという
担架のシーンではアイヌの人たちの担架作りを参考にしたという[c]映画「シサム」製作委員会

――ハロルド先生が本作のためにイラストも描き下ろしました。どのようなオーダーがあったのでしょうか。

ハロルド「渡されたお手本を見て描かせていただきました。資料や脚本をたくさん読んだせいか、この衣装の時は彷徨う表情だな、苦悩する表情だなというのはわかっていたので、描きやすかったです。今回のイラストは僕の創作ではなく、あくまで映画に沿うように」

【画像を見る】「BECK」「ゴリラーマン」のハロルド作石が寛一郎を描き下ろし!“彷徨う表情”にグッとくる…
【画像を見る】「BECK」「ゴリラーマン」のハロルド作石が寛一郎を描き下ろし!“彷徨う表情”にグッとくる…イラスト/ハロルド作石

――表情、そしてやっぱり目がいいですよね。

ハロルド「よかったー!」

嘉山「作石さんらしさがありますよね」

ハロルド「わかってるの?僕らしさ(笑)」

嘉山「いやいや、これはもう、誰が見ても作石さんのイラストってわかりますから」

ハロルド「ほかの漫画家の方にもイラストをお願いしてるんでしょう?」

嘉山「ありがたいことに、作石さんを含めて、12名の方々にご協力をいただいてます」

ハロルド「愛されてるね~(笑)」

――お二人の会話からも、嘉山プロデューサーには、協力をしたくなる魅力があるのだと感じました。最後に、これまで見守られてきたハロルド先生から嘉山プロデューサーに一言いただけますか?

寛一郎の表情、佇まいに注目
寛一郎の表情、佇まいに注目[c]映画「シサム」製作委員会

ハロルド「持ち前の行動力と高いコミュニケーション能力でいきなりこのような難しい映画を作り上げたこと、完成したことはすばらしい。立派なものを完成させて、シンプルにすごいと思います。嘉山くんは、基本的に人に好かれる人間。しかも運もある。今回映画の完成まで見てきて“持ってる”と思いました。あとはたくさんの方に観てもらえることを願うばかりです」


取材・文/タナカシノブ

※「シサム」の「ム」の正式表記は、小文字表記
※「アクノ」の「ク」の正式表記は、小文字表記

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ハロルド作石
漫画家。1987年に、「そうはいかん」で講談社第17回ちばてつや賞優秀新人賞を受賞し、同年「週刊ヤングマガジン」にてデビュー。「ゴリラーマン」「バカイチ」「ストッパー毒島」「BECK」などヒット作を手掛けた。

嘉山健一
『シサム』エグゼクティブ・プロデューサー。大学卒業後、ビッグコミックスピリッツ編集部(小学館)にて「ホムンクス」「アイアムアヒーロー」「7人のシェイクスピア」など、数々の有名作品に関わる。現在も漫画制作に関わりながら、“予防法務”の観点から顧問弁護士らと共に、漫画家などのクリエイターに対する法務サポートや契約書管理などを行っている。
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