鈴木おさむ&ゆりやんが明かす「極悪女王」みなぎる熱気の正体「Netflixはおもしろいものをつくることにストイック」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
鈴木おさむ&ゆりやんが明かす「極悪女王」みなぎる熱気の正体「Netflixはおもしろいものをつくることにストイック」

インタビュー

鈴木おさむ&ゆりやんが明かす「極悪女王」みなぎる熱気の正体「Netflixはおもしろいものをつくることにストイック」

「髪切りデスマッチの撮影前日まで、えりかちゃんとしゃべらないようにしていた」(ゆりやん)

――髪切りデスマッチでは、ダンプさんが敗者となった長与さんの髪をリング上で切り、あまりの過激さからテレビ局に抗議が殺到しました。嫌われ役に徹して“最恐ヒール”へと覚醒していくダンプ松本の魅力を、ゆりやんさんはどのように感じていますか。

「ダンプ松本さんから、芸人としても勇気をもらいました」
「ダンプ松本さんから、芸人としても勇気をもらいました」撮影/興梠真穂

ゆりやん「ダンプさん、すごすぎますよね。みんなから『帰れ!帰れ!』と言われるなんて、普通に考えたらものすごく嫌なことです。本シリーズでは3話の終わりでダンプさんが覚醒しますが、初めて『帰れ!』という声を浴びせられるシーンでは、スーパーバイザーとして監修に入っていただいていた長与千種さんと『ここはいままでまったく注目をされていなかったダンプさんが、初めて注目される瞬間。たとえそれが罵声だったとしても快感だったはずだ』と話し合いました。台本には『帰れコールを浴びる』とだけ書いてあったんですが、長与さんが『帰れコールが来た時、ダンプさんは両手を耳に当ててそれを聞くようなジェスチャーをしていた』と教えてくださったんです。私たち芸人も、叩かれることを気にしすぎて本来の姿を見せることができなかったり、自分のやりたい方向に突き進むことをやめてしまうこともあります。でも先ほどおさむさんがおっしゃったように、日本中からぶつかってこられても、ダンプさんは『知るかよ』と言ってのける。心のなかでは、『知るかよ』と思えない時もあったと思います。それでもそこでグッと突き進んでいけるというのは、本当にすごいこと。芸人としても、勇気をもらいました」


――プロレスラー役の皆さんはオーディションで選ばれました。ほぼ代役なしで、本気のプロレスシーンを演じ切っていることも驚きです。

唐田えりかと剛力彩芽も訓練に励み、本気のプロレスシーンに挑んでいる
唐田えりかと剛力彩芽も訓練に励み、本気のプロレスシーンに挑んでいる

鈴木「みんなものすごいトレーニングをしていたし、ああいう時間を一緒に過ごしたら仲良くなったんじゃない?」

ゆりやん「めっちゃ仲良くなりました。プロレスシーンも、唐田えりかさんや剛力彩芽さんから刺激を受けることでやり抜くことができたと思います。プロレスの特訓をしていくなかでも、できる人、できない人がいて、私はうまくできないほうだったのですが、みんなが応援をしてくれるんですね。応援してくれてうれしいけれど、悔しい気持ちもあって(笑)。『実際に入門したらこんな感じなんやろうか』と思いました」

鈴木「髪切りデスマッチの撮影は本当にすごかったですね。完全に当時の様子を再現していて、会場も『当時の大阪城ホールはこんな感じだったんじゃないか』と思うような空気でした。撮影にはダンプさんと長与さんも来ていて、モニター前に2人が並んで座っていて。実際に髪を切った人、切られた人が並んでいるんですよ!撮影が始まる前から、2人とも泣いていましたね。そんななか撮影が始まり、カットが入って普通だったら休憩するような時間でも、ゆりやんはずっとリングから降りなかった。ずっと“ダンプ松本のまま”リング上をウロウロしていました。その時の顔は、いまでも忘れられない」

ゆりやん「うれしいです。やっぱりあのシーンでも、唐田えりかさんや剛力彩芽さんをはじめ、みんなが周りにいてくれたことで、そういった表情を出すことができたんだと思います。あのセットのなかにいると、目と目が合うだけでダンプさんと長与さんになれるというか。お客さんも熱気を作ってくれて、全員でその空気を一緒に体感したような、本当に特別な場所になっていました」

試合シーンでは、会場全体が異様な熱気に包まれる
試合シーンでは、会場全体が異様な熱気に包まれる

鈴木「髪切りデスマッチの撮影の前日や、当日の朝は唐田さんと話をしたんですか?」

ゆりやん「もともとえりかちゃんとは仲良くしていたんですが、『ダンプさんと長与さんは、だんだんいがみ合ってしまう。その関係性を体験するために、私たちも話や挨拶をしないようにしたほうがいいかな』と話し合って。そこからは、えりかちゃんと話をしていかなったんです」

鈴木「当時のクラッシュギャルズとダンプさんのことを考えると、それはとてもリアルだね」

「極悪女王」でシビれるような熱演、存在感を発揮したゆりやん
「極悪女王」でシビれるような熱演、存在感を発揮したゆりやん撮影/興梠真穂

ゆりやん「そうなんです。えりかちゃんが誰かと楽しそうに話していると『腹立つ!』という気持ちが生まれたりしていました。髪切りデスマッチの撮影の前日にはリハーサルがあったんですが、しばらくえりかちゃんとコミュニケーションを取っていなかったこともあり、試合でのタイミングとかもうまく合わせることができなくて。そこでえりかちゃんが『レトリ、ご飯行こう』と声をかけてくれて、2人で千葉のホテルの横にある焼き鳥屋さんに行きました。えりかちゃんとたくさんしゃべって、『そういえば、私たちって仲良かったよな』という話になって(笑)。『明日はどうしようか。(ダンプさんと長与さんは当時)こういう気持ちだったと思うから、これくらいの勢いで行くよ』と一緒に決めたりして、次の日の撮影も息ぴったりでやることができました。一度話さないでいたことによって、さらにグッと千種とダンプのような気持ちを作ることができたように感じています」

鈴木「髪切りデスマッチを当時のまま再現したのは、本当にすごいこと。撮影の現場はとてつもない空気になっていたので、スタッフの誰かが『これ企画したの、誰だ』と言っていて(笑)。僕は『(怒られるのが恐くて)わからないです』と答えていました(笑)」

作品情報へ