ソフィア・コッポラにスピーニーを推薦したダンスト
ダンストの導きは、これだけではなかった。『ヴァージン・スーサイズ』(99)以来、『マリー・アントワネット』(06)、『ブリングリング』(13)、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17)と4度ソフィア・コッポラ監督の作品に出演している彼女は、当時コッポラが準備していた新作の主演にスピーニーを推薦する。本作の撮影後、その映画『プリシラ』(23)に出演し、不世出のスター、エルヴィス・プレスリーの若妻であるタイトルロールに挑戦したスピーニーは、2023年のヴェネツィア国際映画祭で見事に女優賞を受賞。これにより、ハリウッド注視の若手女優となったのだから、ダンストは彼女にとって、まさに恩人というべき存在となったのだ。
死線を越えながらリーとジェシーの絆が育まれていく
公開順は逆になったが、『シビル・ウォー ~』でのスピーニーのタフな経験が『プリシラ』や『エイリアン:ロムルス』に生かされたのは明白で、本作でのスピーニーの熱演はキャリアの分岐点になったともいえるだろう。
言うまでもなく、本作でのスピーニーの“師”ダンストも、幾度となく死線を越えるキャラクターに説得力を与え、これまでになくシリアスでタフな演技を見せる。彼女たちが扮する戦場カメラマンの師弟コンビは、動乱のニューヨークから、最前線になろうとしているワシントンD.C.を目指す。その旅になにが待ち受けているのか?2人の絆に注目しつつ、大いにハラハラしてほしい。
文/相馬学
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