ホアキン・フェニックス&トッド・フィリップス監督が『ジョーカー2』を振り返る「僕たちがやり遂げたと感じてもらえたらうれしい」

インタビュー

ホアキン・フェニックス&トッド・フィリップス監督が『ジョーカー2』を振り返る「僕たちがやり遂げたと感じてもらえたらうれしい」

全世界に衝撃を与えた『ジョーカー』(19)の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(通称『ジョーカー2』)が公開中だ。シビアな人間描写や容赦ない暴力で話題を呼んだ前作に続く本作は、ジョーカーことアーサーとミステリアスな女性リー(レディー・ガガ)のロマンスを軸に展開。前作同様、観る者の予想を覆す問題作に仕上がった。前作に続き徹底した役作りでアーサー役に臨んだホアキン・フェニックスと監督・共同脚本を務めたトッド・フィリップスが作品やキャラクターに込めた思い、映画の舞台裏を明かした。

世界を巻き込んだ、ジョーカーの新たな事件の幕が開く
世界を巻き込んだ、ジョーカーの新たな事件の幕が開く[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories

「温もりやロマンスを感じたアーサーは、自分自身と自らの行動を振り返るようになる」(フェニックス)

前作を撮り終えたあと、このキャラクターで伝えられること、探求できることがまだあると語ったフェニックス。それはアーサーに対する疑問だという。「アーサーは、これから彼の身になにが起こるのか、物語はどこに行くのか知りたくなるキャラクターなんです。そして最終的に、1作目の出来事のあとで彼は何者になるのか、その疑問に答える必要があるという考えに落ち着きました。1作目のキャラクターの旅路を尊重しつつ、新しいなにかを見つけることが重要でした」と振り返る。「彼はアーサーなのか、それともジョーカーなのか?もっとも彼らしいのはどちらか、それを受け入れることができるのか?」それこそが本作で探求したことだと語った。

社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカーの暴走がさらに加速していく
社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカーの暴走がさらに加速していく[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories

音楽が重要な役割を果たしている本作。気持ちを歌にしたアーサーを演じたフェニックスにとって音楽はどんな役割を果たしたのだろうか?「前作を終えた時にふと、もしジョーカーに乗っ取られたら、アーサーはどうなるんだろうかと思いを巡らせたことがありました。ジョーカーを生みだしたことで、猫背で自分の殻に閉じこもり、誰からも耳を傾けてもらえなかったアーサーは、世間の注目を集める存在になりました。その名声や悪名が、いったい彼にどのような影響を与えるのだろうか、と。今回は出会いが生まれ、温もりやロマンスを感じたアーサーは、自分自身と自らの行動を振り返るようになるんです。ステファニー(ガガ)のおかげで、彼は新しい声を見つけることができたんです」といい、歌を通してキャラクターの変化を表現したという。

「ジョーカー」シリーズを通し、アーサーは女性たちから大きな影響を受けてきた。母親、同じアパートに住むシングルマザーのソフィー・デュモン、そして今作のリー。アーサーにとって彼女たちはどんな存在なのかを聞いてみた。「アーサーは母親から暖かさや安らぎ、愛情を一度も受けたことがありません。控えめに言ってもかなり問題がある関係でした。ソフィーは単なるファンタジーです。彼女はアーサーに対し、エレベーターで微笑むという親切なジェスチャーを示しました。ところが彼はそのサインを完全に誤解してしまうんです。 しかしリーとアーサーはほとんど対等でした。最終的に、リーが最も影響力を持っていたと思います。彼女はアーサーを最もコントロールした女性ですから」とその存在感を語った。

リーと出会ったジョーカーはもう1人じゃない?
リーと出会ったジョーカーはもう1人じゃない?[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories


「ジョーカーは多くの人にとって大きな意味を持ち、エンタテインメント全体に大きな影響を与えてきたキャラクター」(フェニックス)

続編の製作にあたってトッド・フィリップス監督は「ホアキンには前作と同じような怖さが必要だった」と語った。フェニックスが前作で抱いた恐怖とは、DCを代表するキャラクターを演じることだった。「ジョーカーは多くの人にとって大きな意味を持ち、映画というメディアに限らずエンタテインメント全体に大きな影響を与えてきたキャラクターです。僕が演じるずっと前から、すばらしい役者たちがそれぞれの解釈で演じてきました。そのことが僕にとって神経をすり減らす原因でした。僕が演じてきたキャラクターは、ほとんどがオリジナルのキャラクターで、僕がそれをどう演じるか誰も知りません。この役はこうあるべき、という先入観がないんです。しかしジョーカーでは、僕の演技は彼らと比較されるんです。それは僕にとって初めての経験で、とても不安を感じました」とフェニックス。ただしプレッシャーを受けるのは嫌いではないという。「恐怖ではありますが、同時に深く掘り下げて、なにかユニークなものを見つけなければならない、という気持ちになれるんです。今回は前作でトッドたちと発見し確立したものを尊重しながら新たな要素を創造し、キャラクターをさらに掘り下げ新しいなにかを発見できるのか、その旅だったといえるでしょう。観てくれた人たちが、僕たちがやり遂げたと感じてもらえたらうれしいのですが」と振り返る。

ジョーカー役を演じることに相当なプレッシャーがあったというフェニックス
ジョーカー役を演じることに相当なプレッシャーがあったというフェニックス[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories

テイストの異なる2本の作品でジョーカーを演じたフェニックス。『ジョーカー3』については未知数だが、このキャラクターを演じられたことについては特別な経験だと振り返る。「トッドとの仕事でこれまでにないユニークな経験ができました。これまで僕は『グラディエーター』を除けば、小規模な作品ばかりに出演してきました。陳腐な言い方になりますが、トッドと協力することで大きなキャンバスに、僕なりにアプローチする方法を見つけることができたんです。まるで気の置ける仲間たちと仕事をしているようでもあり、どんなことでも可能になるとすら思うことができたんです。それは本当にユニークな経験であり、そのような演技の経験ができる場に立てたことをとてもラッキーだと思っています。なぜならそれは、この世界で本当に稀なことだからです」。

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