ハロウィンシーズンのダークホースから“主役”へ!残虐ホラー「テリファー」シリーズ最新作が北米No. 1スタート
先週末(10月11日から13日)の北米興収ランキングは、「テリファー」シリーズの最新作『テリファー 聖夜の悪夢』(11月29日日本公開)が初登場でNo.1を獲得。初日から3日間で興収1892万ドルと決して高い数字ではないものの、上映館数は上位にランクインした他のメジャー大作よりも少ない2514館。今年No. 1を獲得した作品のなかで最も少ない上映規模という点で、その価値は大きいだろう。
ハロウィンの夜に現れるピエロの格好をした殺人鬼“アート・ザ・クラウン”が巻き起こす惨劇を描く「テリファー」シリーズ。わずか10万ドルで製作された第1作『テリファー』(16)が一部でカルト的な人気を博し、続く『テリファー2 終わらない惨劇』(22)が公開されるや北米中の映画館で体調不良者や失神者が続出。作品の公式SNSが注意喚起を出したことでさらに話題が加速し、怖いもの見たさの観客が劇場に殺到。ハロウィンシーズンのダークホースとして興収1000万ドルを超えるスマッシュヒットを記録。その2作目の興収を、今作はわずか2日で上回ったことになる。
なんといっても「テリファー」シリーズの特徴は、批評家から軽視されがちなジャンルの作品でありながらも、不思議なほど評価が高いこと。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価は73%、観客からのそれは88%と、それぞれ87%と81%だった前作に次ぐ高評価。すでにシリーズ第4弾の製作も進められていると報じられており、今年のハロウィンではダークホースではなく主役の一角として注目を集めることになりそうだ。
2位と3位には『野生の島のロズ』(2025年2月7日日本公開)と『ビートルジュース ビートルジュース』(日本公開中)が前週比70%強の興収を維持して順位をキープ。その一方で、前週初登場で1位を飾った『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(日本公開中)は、それらを下回る成績で一気に4位まで下落。SNS上で見受けられるネガキャンのあおりが興収成績に如実にあらわれてしまっている。
週末3日間の興収は700万ドルと、前週比はわずか18.6%。初週末から2週目末にかけての興収の下落率で見ると歴代ワースト20位。もっとも上位19作品の多くが上映館数を減らしていたり、再上映などイベント性の高い作品であるケースがほとんどで、上映館数が変わらず、かつ4000館もの大規模公開作としては前代未聞の事態。北米累計興収は5000万ドルを超え、全世界興収では1億6700万ドル突破と、制作費の2億ドルに額面上は近付きつつあるが、宣伝費などでそれ以上の金額が費やされていることを考えると、どこまで赤字額を小さくできるかが今後の大きな課題となるだろう。
そして、北米公開を迎えた『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(日本公開中)は、初日から3日間で興収300万ドルを記録して8位にランクイン。前作、前々作と比較すると、上映館数は増加しているもののオープニング興収は半減。また、ハロウィンシーズンの風物詩となった『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)のリバイバル上映が今年も1700館規模でスタートし、3日間で240万ドルの興収を記録。季節ものとしての根強い人気の高さを証明している。
文/久保田 和馬