英雄の劇的な生涯を“新解釈”!23年ぶりタッグにも注目
『グラディエーター』でラッセル・クロウが演じた主人公のマキシマスと対峙する皇帝コモドゥスを演じたホアキン・フェニックスが、23年ぶりにスコット監督とタッグを組んだ『ナポレオン』(23)は、そのタイトルの通り誰もが知るフランスの英雄ナポレオン・ボナパルトを“新解釈”で描いた歴史スペクタクル。
18世紀末、フランス革命の混乱のなかで頭角をあらわしたナポレオン(フェニックス)は、天才的な軍事戦略で数々の勝利を収め、ついには皇帝の座にまで上り詰める。最愛の妻ジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)との複雑な関係を抱えながら、国内外で権力を拡大していくナポレオン。しかし彼の戦闘は次第に防衛から侵略へと姿を変え、やがて数十万人の命を奪う凄惨な戦争へと突入していくこととなる。
『ジョーカー』(19)の怪演でオスカー俳優となったフェニックスが見せる圧巻の演技と、それを引き立てる美術や衣装、メイクアップや視覚効果の緻密さ。冷徹なまでのカリスマ性でヨーロッパを掌握したナポレオンの劇的な生涯が、完璧なまでに再現された珠玉の一本だ。
新たな“グラディエーター”が、復讐を胸に立ち上がる!
いよいよ公開される『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』の舞台は、前作から十数年後。新たな暴君の圧政によってローマ帝国の市民たち苦しい生活を強いられるなか、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻によって愛する妻を殺されたルシアス(ポール・メスカル)は、奴隷として売られ“グラディエーター”となる。そして復讐心を胸に、コロセウムでの闘いへと身を投じていく。
新たに主人公を演じるのは、『aftersun /アフターサン』(22)で第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたポール・メスカル。さらに2度のアカデミー賞に輝く名優デンゼル・ワシントンや、「マンダロリアン」シリーズのペドロ・パスカル、前作に引き続きルッシラ役を続投するコニー・ニールセンら豪華俳優陣のアンサンブルも見逃せない。
そしてなんといっても注目は、実際にコロセウムのセットを建設し、ワシントンが「キャリア史上最大の作品」と語るほどの圧倒的スケールで再現された古代ローマ帝国の描写。前作を遥かに凌ぐ壮絶なドラマと剣闘士たちによる手に汗握るバトルの数々。まさに“究極”と呼ぶに相応しい映像体験を、是非とも映画館の大スクリーンで存分に味わってほしい。
文/久保田 和馬