快進撃を続ける山中柔太朗「飴色パラドックス」『あたしの!』など出演作で放つ唯一無二の存在感
繊細で柔和な雰囲気が、多くの人々を魅了
次に、夏目イサク原作による人気コミックの実写ドラマ化「飴色パラドックス」では、山中は木村慧人と共にW主演を果たしている。山中が演じるのは週刊誌の張り込み班のカメラマン蕪木元治。週刊誌記者の尾上聡(木村)と組んで取材に当たってはなにかと衝突してしまう“ケンカップル”を体現している。正義感が強くまっすぐな尾上に対して、蕪木はスクープのためなら手段を選ばない人たらしなキャラクター。実は思いやりがあって優しい一面もあるのは山中のイメージに合っているが、クールでリーダーシップがあって尾上を翻弄してしまう人柄は、これまでの山中にはなかった一面。新たな魅力を打ちだしてなおいっそうのファンを獲得することに成功し、知名度もさらにアップしたと言える。
続いて山中は、ドラマ「ブラザー・トラップ」でヒロインである立花あかり(久間田琳加)の相手役、成瀬和泉役として、真面目で誠実な年下男子に扮している。外交的なモテ男である兄の大和(塩野瑛久)と対照的でなければ成立しない役どころを、持ち前の優しさに繊細なナイーブさを加えて好演。
また、「仮面ライダーガッチャード」にも出演しており、第22話と第23話でズキュンパイアを演じた。ズキュンパイアは見目麗しき吸血鬼のような存在で、白髮に胸元の開いた衣装を着用した山中は実に美しく、“ズッキュン”とさせられてしまうことにも納得させられる。サブキャラクターながらキャラクターソングまで発売されて話題となり、映画『仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク』(24)にも出演。山中の知名度がメジャークラスにグレードアップしてきたことの証明と言えるだろう。
2度目の組員役は、ヤクザ漫画の金字塔
波に乗る山中は公開中の映画『静かなるドン2』にも出演。本作は言わずと知れた新田たつお原作による累計発行部数4600万部を超える大ヒットヤクザ漫画の映画化。社会人としての“昼の顔”と、ヤクザとしての“夜の顔”を併せ持つ近藤静也(伊藤健太郎)が、ヤクザにもかかわらず争いごとを嫌いながら、総長として彼の組、新鮮組を盛り上げていく様子が描かれる。
山中にとっては「恋と弾丸」に続いて2度目となるヤクザ役となり、持ち前の美貌を保ったまま、抗争に参加する松平航を演じている。本宮泰風との共演シーンが多いが、ヤクザ役を得意とする本宮に気圧されることなく堂々たる力演を披露。また、本宮からは「グループのライブに行きたい」と言われるほど懐に入り込み、山中の人懐っこい人柄がうかがえるエピソードも残している。
新作ラブコメ『あたしの!』では、ヒロインをサポートする好青年に
山中の映画出演はさらに続く。ヒロインが恋と友情の間で揺れ動くラブコメディ『あたしの!』(11月8日公開)ではメインキャストに抜擢。学園の王子様である直己(木村柾哉)の親友であり、直己に一目惚れしたあこ子(渡邉美穂)の相談相手、成田を山中が演じる。
成田はクールなイケメンだが、あこ子の名前をわざと間違えてからかうなどして、親しみやすい男子。あこ子は小学校から大親友である充希(齊藤なぎさ)も直己のことが好きなのじゃないかと悩んでしまい、成田はそんなあこ子の相談に乗る。ズバズバとあこ子の図星をつく成田は一見冷たく感じるが、あこ子の立場に立って真剣にアドバイスしていることが見て取れ、時には直己に連絡してさりげなくフォローをしてやる様子に思慮深い優しさがにじみ出ている。
山中自身が持つ一歩引いた涼やかな雰囲気と、心の奥にある温かみが成田のキャラクターと融合して厚みある人間性を感じ取れるのだ。成田はあこ子にとって、また観客にとっても安心感を与えてくれる存在で、それは山中が内包しているものだろう。
山中とキャラクターの化学反応に期待!
このほかにも、山中がヒロインに絡む謎めいた男、黒瀬友哉に扮する新作ドラマ「初めましてこんにちは、離婚してください」が11月7日から放送開始。映画もドラマも出演作が途切れないだけでなく、11月にはグループ初のさいたまスーパーアリーナ公演も開催され、アーティストとしても俳優としても勢いは増すばかり。自身の個性と演じるキャラクターの個性が化学反応を生みだし、作品を支えることができる俳優としての力量が感じられる。これから山中が役者としてどのように成長していくのか、楽しみでならない。
文/牧島史佳