<コメント>
●鈴木敏夫(スタジオジブリ)
「いま、自分が生きている世界とは別の、もう一つの世界が存在する。そんな感覚に襲われた人はこの映画を見た方がいい。その感覚が、そのまま映像になっている。ぼくは実感した―。映画が新しい時代に入ったことを」
●千原ジュニア(芸人)
「これは白黒の原作が秀逸な脚本で彩色され、美しい役者たちの魂が吹き込まれた上質で笑えるコメディ映画だ」
●河合優実(俳優)
「主人公がたどる時間の顔つきが、みるみるうちに移り変わっていく。知らないほうへとどんどん転がって気がついたら二度と戻れない場所にきている。映画の世界は必ずしも写実的ではないのに、終わってしまうとなにか痛切な、不可逆さみたいなものを感じた。映画を作った人たちに話が聞きたい」
●伊藤潤二(漫画家)
「夢とうつつが交錯するつげ義春の不条理な世界が、魅力的なキャストによって映像に焼き付けられました。つげ漫画に流れるやるせなさが巧みに表現されていて引き込まれました」
●新井英樹(漫画家)
「『つげ義春と片山慎三、そりゃ相性いいでしょ』。と思って観たら…驚愕の新世界!表現者の核『これがやりたい』慾情が爆発してた!予想、想像を超えた熱とイメージの万華鏡に痺れまくった!」
●見城徹(編集者)
「『岬の兄妹』から『さがす』を経て、ここまで来たのかという感嘆!片山慎三の想像力の世界に犯されて身じろぎも出来ない。何という劇場の中の官能。村上龍の芥川賞受賞第一作の長編『海の向こうで戦争が始まる』を一瞬思い出したが、それとも違うオリジナルな世界だった。成田凌、中村映里子、森田剛、竹中直人が熱演。こんな映画はかつて無かった。観て直ぐに仕事の会食だったが、会食が終わったいまも片山慎三の極彩色の夢の世界にうなされている。『雨の中の慾情』から『戦場の官能』へ。僕はまだ勃起したままだ。僕は目の前で確かに戦争を見た」
●ジェレミー・トーマス(映画プロデューサー)
「『雨の中の慾情』は、とても興味深く、強烈な漫画を創り出すアーティストの頭の中にいるようで、先鋭的で独創的な世界を見せてくれる。これは、思慮に富み、力強い映画だ」
●鈴木麻美子(鈴木敏夫プロデューサー長女、作詞家、著書「鈴木家の箱」)
「土砂降りの雨の中で抑えきれなかった義男の欲情が、ただ1つの強烈な感情として全編を通してひたすら描かれる。その切実なまでのヒリヒリ感が観客を魅了して目が離せなくなる。めちゃくちゃな世界で、情愛だけがホンモノだと感じさせる映画だった。それはあまりに美しい、偽りの夢だった」
文/平尾嘉浩