「赤楚くんは、テレビなどで見るカッコいい印象とのギャップが…」
――本作のように、同世代の俳優が結集してお芝居をする撮影も珍しいと思いますが、共演されて刺激を受けた点があれば教えてください。
「1時間ぐらいのワンシチュエーションを芝居で成立させるのは本当に難しいことなんですよね。声のメリハリで飽きさせないようにするとか、ある意味、テクニックが必要になってくるんですけど、そのあたりは赤楚くんがやっぱり上手くて。赤楚くんが演じた波多野って、真人間すぎて、言ってしまえば、個性が希薄なキャラクターじゃないですか?そのあたりを嫌味なく飄々と演じているのに、声の出し方やセリフの言い回しをひとつひとつ変えて、飽きさせないようにしている。僕はあまりそういうことをしないタイプだったので、すごく勉強になりました」
――続いて告発によって裏の顔が暴かれる本作に因んだ質問です。6名の中から、どなたかのあまり知られていない魅力や意外な素顔を告発してください。
「たぶん、みんな知られてない側面は持っていると思うんですけど、これも赤楚くんですね。赤楚くん、すごい、おじさんなんですよ(笑)!年上なのにすごくフランクに『敬語とか使わなくていいよ』って言ってくださるから、親しみやすいし、一番話しやすかったんですけど、テレビなどで見るスラっとしたカッコいい印象とのギャップがあって。ダジャレと言うか、おやじギャグみたいなことをけっこう連発されるから、それがすごく意外でした(笑)」
「僕は、あれは恋だと思っています」
――ちなみに、倉さんは就活はしたことないですよね?
「就活ではないですけど、ちょっとしたインターンとか会社説明会とかには行ったことがあるんです」
――その経験は今回、役に立ちました?
「役に立ったかどうかはわからないですが、就活に対する本気度は周りの人たちを通じて知っていたので、そのあたりの心意気は役に立ったかもしれません」
――そんな倉さんがもし就職活動をすることになったら、どのように自己PRをしますか?
「僕、あまり自分を褒めることがないんですけど、唯一あるとしたら、他人に対して嫌なことをしないということですね。それと、自分が人一倍できないことがわかっているので、人一倍真面目にやるし、人一倍努力するので、そのことを言うと思います」
――エントリーシートの特技や長所を書く欄にはなんと書きますか?
「そこは、絶対に嘘をつきます(笑)。『自分の短所を理解しているのが長所です』みたいな言い回しが面接の回答のテンプレートなどではよくあるじゃないですか。僕、あれを書くと思います。受かったら勝ちだし、こういう映画のオーディションでも、そこは戦略的に挑むと思いますね」
――これまでの人生で、“絶対にこれを勝ち取りたい”と思う瞬間は何度かあったと思います。そうした時に、願掛けや、自分の中で決めているルーティンはありますか?
「オーディションなどでは、やっぱり自信に満ちた人のほうが魅力的に見えると思うので、ちょっと態度を大きくして、堂々と臨むようにしています。」
――本作は実際にこれから就活する人たちにオススメしますか?ススメない方がいいと思いますか?
「ノイズになるかもしれないから、就活前には観ないほうがいいかもしれないですね。でも、この6人のことを“この人たちみたいになりたくない!”と思える人なら、観ると自信がつくかもしれない」
――この段階では詳しいことは公表できないですが、倉さんは“真犯人”の心理状態は理解できました?
「“あの人”にはレイシスト(人種差別主義者)の部分もあるんだろうなという解釈をしました。でも、僕は、あれは恋だと思っています。犯人だった人の執着と言うか、歪んだ愛みたいなものがそうさせたような気がしたんです」
取材・文/イソガシマサト