東京コミコン2024こと「東京コミックコンベンション2024」の開催2日目となる12月7日に、シネマ・ステージ×怖コン『嗤う蟲』&『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』のスペシャルステージが開催され、2025年1月24日公開の『嗤う蟲』より主演の深川麻衣、城定秀夫監督、同日公開作の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』より近藤亮太監督、総合プロデュースを務める清水崇が登壇した。
ホラー映画の魅力を語るコミコンの人気コーナー“怖コン”。今回は2025年に公開を控えるホラー作品のなかから、深川麻衣主演『嗤う蟲』と第2回日本ホラー映画大賞(2020年)に輝いた近藤監督の長編デビュー作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の2作品にスポットを当て紹介。『嗤う蟲』は日本各地で実際に起きた村八分事件をもとに、田舎特有の“村の掟”や現代日本に隠される”村社会”の実態を暴く物語、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、ある家族の“弟の失踪”にまつわる1本のVHSテープに収録されている失踪の瞬間を映す、忌まわしい映像に閉じ込められた底冷えするような恐怖を味わえるホラー作品だ。
イベントでは、両作品の予告を流し、お互いの作品の感想を伝え合うことに。数日前に『嗤う蟲』を鑑賞したという清水監督は「予告を超える内容ですごく満足しています!」とおすすめ。近藤監督は「予告編だけで迫力を感じる」と、怖がる仕草を見せながら感想を話した。城定監督は「隣で深川さんが怖い、怖いと言っていました」と明かし、「僕とは違うタイプの作品で、劇場で観たいです」と興味津々。怖いものが苦手な深川は「(予告を観た)いまの一瞬で心拍数がすごい」と少し震えるような動きを見せていた。
城定監督は「ホラーやスリラーといったジャンルによったものではないというところからスタートしました」と制作を振り返る。ジャンルレスが魅力の映画を目指していたとし、「村ホラーと見せかけてそうでもないのか、みたいな見せ方を考えていました。その塩梅は難しかったです。スリラーともホラーとも言い難い」と本作のジャンルは特定しない、できないとも解説。深川は「村にある暗黙のルール、秘密が徐々に明かされていきます。いままでにないお話だと感じたので」と出演の決め手を明かしていた。本作のタイトルは当初「村八分」だったそうで、城定監督が「『タイトル、おかしくない?』みたいな話になって、スタッフ、キャストに募集をかけました」と明かすと、深川は「『ユートピア』を提案しました」と笑顔を見せる。結果“虫”文字が4つも踊るタイトルとなったが、城定監督は深川案も作品の世界観をよく表しているタイトルだったと頷いていた。
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は先日開催された第37回東京国際映画祭でワールドプレミア上映がされている。「派手なことが起きる作品ではないけれど、観た人からはすごく怖かったと言われて。怖い映画になったという手応えを感じています」とうれしそうに報告した近藤監督。清水監督は「ド派手なホラーじゃないけれど、じわじわとどこかになにかが映っているかもしれないというのが、ずっと続いている。あの緊張感に耐えられるかどうか」と本作の怖さの魅力を解説した。
イベントでは清水監督が審査員長を務める「日本ホラー映画大賞」にゾンビものや派手なホラー作品の応募が減っていることを残念がる場面も。清水監督から「プロアマ問わずなので、僕も城定監督も応募できます」と応募を促された城定監督は「僕もそう思ってました!」と興味を示す。「スマホで撮ってもいいから深川さんも応募できますよ!」との清水監督の言葉に、深川は「編集の時に画面が観れないかも…」と、怖がりであることを改めてアピールするも、ホラー作品出演の経験を活かし、作るのも面白いかもと強く応募をすすめられ、苦笑いしながらも少し興味がありそうな表情も見せていた。
ホラー作品の制作時には怖い経験をするという話を耳にするとのMCのコメントに城定監督は「撮影中はないけれど、今月末に樹海で撮影を予定していてロケハンに行きました」と告白。ロケハンでは独特の空気を感じたそうで「なにも起きないといいなと思っています」とニコニコ。霊感がないという深川が「撮影中に若葉くんが幽霊を見たと言っていて。起きたらおじさんが座っていたって」と共演の若葉竜也のエピソードを披露すると、清水監督が「(田口)トモロヲさんが忍び込んだのでは?」と深川と若葉演じる夫婦が移住する麻宮村の村民たちが過剰に信奉する自治会長役の田口トモロヲの名前を挙げ、笑いを誘っていた。
「幽霊、モンスターが怖くないという人もいる。そういう人には“人怖”がおすすめかも」と話した清水監督が「『嗤う蟲』の宣伝担当から『コメントをください』と言われて。(『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』と)同日公開だからどうしようかと思っていたら、(同日公開に気づいた宣伝担当から)『すみません…』とすぐにメールが来て。その流れもちょっと怖かった」と明かすと会場は大爆笑。登壇者はタイプの違う怖いがたくさんあるとまとめて両作品の鑑賞をおすすめしていた。
取材・文/タナカシノブ