村上虹郎、父・淳から届いた謎のメッセージに「もう知らないです」
俳優マネージメント会社ディケイドの設立25周年を記念して製作された映画『AMY SAID エイミー・セッド』が9月30日に公開初日を迎え、東京・新宿のテアトル新宿で初日舞台挨拶が開催。三浦誠己や渋川清彦を筆頭とした、ディケイド所属の俳優を中心としたキャストと監督ら総勢18名が登壇し、短い時間の中で駆け足になりながらも、息の合ったやり取りを見せた。
本作は、かつて同じ大学の映画研究会に所属していた男女8名が、20年前にこの世を去った仲間の命日に、思い出の店に集まって語り合う一夜を描き出した密室会話劇。「みんな、映画が好きだった」というキャッチコピーに偽りなく、劇中の台詞には様々な映画作品や俳優の名前が登場し、映画ファンならばワクワクしてしまうことだろう。
主要な登場人物を演じた三浦、渋川、中村優子、山本浩司、松浦祐也、テイ龍進、石橋けい、大西信満の8名は、多くの映画やドラマなどで名脇役として活躍し、いまや日本映画界に欠かすことのできない俳優たち。そんな彼らが劇中では、映画の世界に憧れを抱きながら自主制作を行なっていた大学時代を振り返る、理想と違った現在を生きる大人たちの姿を演じているのだ。
作品の内容にちなみ、登壇者はそれぞれ「映画の世界に飛び込んだきっかけ」についてのエピソードを語った。「自分が死んでからもこの世に存在することができたらなと思ってこの仕事をしています」と語る三浦は、かつては吉本興業に所属したお笑い芸人だった。
「なんかかっこいいこと言ってない?本当は“トライアンフ”でしょ」と、当時のコンビ名をあげた横やりを渋川から入れられると、すぐさま「長くなるでしょ!」とキレのあるツッコミを返す三浦。そんな渋川は、かつてKEEという芸名でファッションモデルとして活躍していた経歴の持ち主で、そのきっかけについては「流れっちゃ流れです。外国人の写真家に拾われました」と、短くまとめた。
他のキャストもそれぞれ、俳優になったきっかけを一言ずつコメントしていった。石橋の「純粋に演技が好きだったから」や、大西の「多くの人との縁があったから」という真面目なコメントの傍、テイのように「人前に出るのが苦手なので治療のようなものです」というものや「裏方を目指していた」という意外なエピソードも挙げられた。
また、大橋トリオから「村上淳兄貴に、以前映画の仕事で一緒になったときに誘われた」というエピソードが語られると、村上淳の息子である村上虹郎が「図ったかのように、うちの親父から音声コメントのようなものが」と、仕事の都合で舞台挨拶に来られなかった淳からのコメントがあることを告げる。
すると場内に流されたのは、名古屋のパチンコ屋の賑やかな中で「ささみを食べろ!帰りの新幹線グリーンにアップデートする!」という謎のメッセージ。それにはさすがに登壇したキャスト陣も苦笑を浮かべ「流す必要あった?」との声も。渡辺真起子から「お宅大丈夫?」と訊かれた村上虹郎は「もう知らないです。自立したので僕」と言って笑いを誘った。
村上虹郎と父・村上淳は、劇中での共演シーンはないものの、同じ作品に出演するのは虹郎のデビュー作となった『2つ目の窓』以来3年ぶり。ディケイドを代表する俳優である淳の存在は、同事務所の将来を担うであろう虹郎にも大きな影響を与えたにちがいない。
『AMY SAID エイミー・セッド』はテアトル新宿で公開中のほか、全国で順次公開される。【取材・文/久保田和馬】