長尾謙杜、映画『室町無頼』で挑んだ超絶アクションシーンへの想い…クライマックスは「僕のフィーバータイム!」
直木賞を受賞した垣根涼介の史実に基づく歴史小説を映画化した『室町無頼』(1月17日公開/ IMAX 公開中)。室町時代を舞台に、腐りきった政治と世の中を叩き直すため命がけの戦いに挑んでいく“無頼”たちの姿を描く本作は、スケールの大きい一揆の場面や迫力満点の殺陣、本格アクションも大きな見どころだ。今回、主人公の蓮田兵衛(大泉洋)のもとで、身も心も成長していく青年、才蔵を演じたなにわ男子の長尾謙杜にインタビュー。棒術を駆使する才蔵の超絶アクションの裏側について、熱く語ってもらった。
自由人の蓮田兵衛(大泉洋)は、武士の階級でありながらひそかに倒幕と世直しを画策する無頼漢。京とその周辺の悲惨な状況と窮民を見た兵衛は、立ち上がる時を狙っていた。抜刀術の達人、槍使い、金棒の怪力男、弓の名手と個性たっぷりのアウトローたちを束ねる兵衛はついに巨大な権力に向けて空前の大暴動を仕掛けるも、幕府軍がその行く手を阻む。幕府軍を率いるのはかつての悪友、骨皮道賢(堤真一)。“髑髏の刀”を手に一党を動かす道賢を前に、兵衛は命を賭けた戦いに挑むのだった——。
「気分は『ベスト・キッド』の修行シーン」
長尾謙杜が演じるのは、自己流の棒術で生計を立て極貧生活を送るなか、兵衛に出会い、その生き様に心酔していく青年、才蔵。地獄さながらの修行を経て「六尺棒」の超人的な棒術を身につけ、兵衛とともに戦いに出る。修行シーンをはじめ、ワンカットで撮影されたクライマックスシーンでは六尺棒を構える長尾渾身のアクションが堪能できる。「棒術と聞いた時には棒を持ったアクションのイメージがまったく湧きませんでした。六尺棒は僕の身長よりも10センチくらい長いもの。最初のころは地面に当たったりして振るだけでも大変でした。最初の練習はほぼ素振りだけ。本当に身になっているのかな、なんて思ったりもしました」と懐かしむ。
「気分は『ベスト・キッド』の修行シーン。服を(ハンガーに)掛けるだけの作業をずっとやっている時のあの気持ちがすごくよくわかって(笑)。でも、練習を開始して1か月くらい経ったころに、(相手の技を)受けられるようになったり、ちゃんと様になっていたりしたので、基礎をやっていてよかったなと思いました」と棒術との出会いと練習期間を振り返る。空手経験があるため、腰の使い方や重心の落とし方はつかみやすかったそうで、「いま、改めて振り返るとすごく楽しかったし、これからもいろいろなアクションに挑戦していきたいです!」とアクションそのものにも興味が湧いたと力強く語った。
「楽しかった」と笑顔を見せた長尾だが、才蔵のアクションとしての“棒術”の魅せ方には難しさも感じていたようだ。「練習では決まった型があるけれど、本当の戦いとなったら次に相手がどんな攻撃をしてくるのかはわからない。攻撃されたように見せること、戦いのなかでのアクションの魅せ方という部分は、自分なりに研究をして撮影に挑みました」と説明。それに加えて、京都撮影所のスタッフやアクション監督をはじめ、アクション部にもどんどん質問してよりよいものを作り上げることができたと充実感を滲ませる。「京都撮影所と聞いた時は、怖いのかなとか独特の雰囲気があるのかなと考えたりもしたけれど、いざ行ってみると迎えてくれたのはすごく優しいレジェンドたち。僕の年齢に近いスタッフさんもいらっしゃるけれど、みんなが温かく迎え入れてくれて…優しかったです」とニッコリ。「これまでたくさんの作品を作ってきたすごい方たちばかり。モノづくりへのこだわりや姿勢がめちゃくちゃかっこよくて。こんなすごい場所に参加していると思うだけで、僕も頑張ろうという気持ちになりました。メイクも小道具も撮影のセットも、すべて一流のものが揃っている。自然と役に入り込めたし、皆さんのおかげで才蔵を作ることができました」。
続けて、京都撮影所に抱いていた“怖さ”を感じることはほとんどなかったと強調。「厳しいとは聞いていたけれど、実際には厳しい言葉をかけられることも、怒られることも全然なくて。ただ、1回だけ『明日の撮影は怖くなるかも…』と思ったことがあって。実は、照明さんに大の阪神ファンの方がいて。撮影期間の日本シリーズで阪神が負けた次の日はちょっと不安がよぎりました。周りのスタッフさんも『明日は荒れるかも』なんて言っていたし、僕も『明日はちゃんと照明当ててもらえるかな』って思ったりもして。でも、心配不要でした(笑)」とニヤリ。初のアクション映画で練習も含めて過酷な現場だったにもかかわらず、スタッフ陣に温かく迎え入れられたことにより、のびのびとリラックスして撮影に挑めたようだ。「アクションもそうですし、時代劇の所作もわからないことだらけ。『これで合っていますか?』などとたくさん質問しながら才蔵を作っていきました。初対面でも自分より年上の方にも物怖じしないタイプなので、京都には意外とすんなり馴染めたのかなと思っています」と余裕も漂わせていた。