遺体安置所が舞台の“最も恐ろしいヨーロッパ映画”が30年ぶりに復活!タブーな題材に怯まずに観ておきたい理由
デンマークの才能が集結!「ゲースロ」俳優の若かりし姿を楽しめる
映画としてのしっかりとした骨組みに加え、デンマークのアカデミー賞と呼ばれるロバート賞で助演男優賞、助演女優賞に輝いていることが示しているようにキャストたちの存在感もピカイチ。『プッシャー』(96)や『ブリーダー』(99)といったニコラス・ウィンディング・レフン作品で知られるキム・ボドゥニアや、彼のパートナーであるリッケ・ルイーズ・アンデルソンら現在のデンマーク映画界を代表する名優が勢ぞろいだ。
なかでも「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011〜19年)のジェイミー・ラニスター役で日本でも広く知られるイケオジ俳優、ニコライ・コスター=ワルドーが主人公のマーティンを演じており、映画デビュー作ながら恐怖や妄想に襲われる主人公を好演。
奇怪な出来事に怯える戦慄の表情を見せたかと思えば、絶妙なボンボンっぽさやなにを考えているのかわからない空虚な眼差しなど、端正なルックスを生かしながら、どこか信用できないムードをキャラクター像に落とし込んでいる。物語に謎をもたらす演技はお見事だ。
ユアン・マクレガー主演のハリウッドリメイクや続編も!
監督・脚本のオーレ・ボールネダルは、1997年には本作をハリウッドでセルフリメイク。その『ナイトウォッチ』には、ユアン・マクレガー、ニック・ノルティ、ジョシュ・ブローリン、パトリシア・アークエット、ジョン・C・ライリーといった豪華キャストが名を連ねている。
さらにはオリジナル版の監督・主要キャストが再集結し、猟奇殺人事件のその後を描いた続編『Nightwatch: Demons Are Forever(英題)』も2023年に劇場公開(日本未公開)。オリジナル版がそれだけの価値がある傑作である理由の裏返しと言える。
屍姦や猟奇殺人といったドギツい題材だけに、食指が伸びないという人も多いかと思うが、それでも観ておきたい1作として、ここでプッシュさせてもらいたい。
文/サンクレイオ翼