今後の方向性や2025年の注目作は?賞レースで快進撃を続ける独立系映画スタジオ、A24の動向を探る
注目の公開待機作を一挙紹介!
今後の作品群にも、A24が掲げる独自性を享受し、オリジナリティあふれる作品を作り続ける監督たちの作品が並ぶ。『ベイビーガール』は、『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』(22)のハリナ・ライン監督によるエロティック・スリラー。テック企業のCEOであるニコール・キッドマンが、ハリス・ディキンソン演じるインターンに隠れた欲望を操られる物語。『Heretic』(4月25日公開)の監督は、『クワイエット・プレイス』(18)で脚本を手掛けたブライアン・ウッズとスコット・ベック。モルモン教の布教活動中の若い女性2人が、ヒュー・グラント扮する男の家に足を踏み入れたが最後、脱出不可能な状況に陥る。不治の病を患う娘と母親(ジュリア・ルイス=ドレイファス)を、喋るオウムが死後の世界に導く異色のファンタジー作品『終わりの鳥』(4月4日公開)、『X エックス』『Pearl パール』(ともに22)のタイ・ウェストとミア・ゴスによる三部作ホラーの最終節『MaXXXine』も控えている。
そのほかにも、公開待機作には、先に述べた『セイント・モード/狂信』(19)のローズ・グラス監督の新作で、クリステン・スチュワートとケイティ・オブライエンによるフィルム・ノワール『LOVE LIES BLEEDING』、エマ・ストーンがプロデューサーを務めた超常ホラーファンタジー『I SAW THE TV GLOW』。またそれ以降も、A24歴代最大規模の制作費をかけて作られるティモシー・シャラメ主演、ジョシュア・サフディ監督で1950年代の卓球カルチャーを描く『Marty Supreme』、アリ・アスターがプロデュースし、ドラマやMVで活躍するヒロ・ムライの映画初監督作で日本を舞台にした時代劇『BUSHIDO』などの制作を控えている。
A24は映画を鑑賞体験のみに留まらせずに、AAA24という独自の会員組織を持ち、オリジナルグッズの販売やシナリオブックの販売なども積極的に行っている。ポスターのデザインから広告、グッズ展開まで一貫した宣伝マーケティングでブランディングを行い、映画を鑑賞し楽しむ体験をカルチャーイベントにまで高めている。2025年も、A24作品から目が離せない。
文/平井伊都子