『セブン』から『ロングレッグス』へ…“サイコホラー”が再びトレンドを巻き起こす!
映画史上に残るバッドエンディング…サイコスリラーの金字塔『セブン』
そんな『ロングレッグス』の公開に先立って、『セブン』のIMAX初上映(1月31日公開)が決定した。デビュー作『エイリアン3』(92)が失敗作と見なされ、挫折感に打ちひしがれたデヴィッド・フィンチャー監督が、興行と批評の両面で画期的な成功を収め、世界中にその才能を知らしめた長編第2作。キリスト教の7つの大罪(=憤怒、嫉妬、高慢、肉欲、怠惰、強欲、大食)になぞらえた連続殺人事件の行方と、その真相究明に挑むブラッド・ピット、モーガン・フリーマンの刑事コンビの苦闘を描いたサイコスリラーの金字塔が、フィンチャー自身が監修した4K版でスクリーンによみがえる。
姿なき犯人が7日間のうちに、次々と残忍な“処刑”を遂行していく事件のただならぬ猟奇性。全編にわたって雨が降りしきる大都会の荒廃を捉えた陰影豊かなヴィジュアル。血気盛んな若手刑事ミルズと思慮深いベテランのサマセットに扮したピット、フリーマンの演技。そして映画史上まれに見る戦慄のバッドエンディングは、初公開から30年が経ったいまも、新たな世代の観客の脳裏に強烈なトラウマを植えつけるに違いない。
犯人のジョン・ドゥを演じたケヴィン・スペイシーは、同年製作のブライアン・シンガー監督『ユージュアル・サスペクツ』(95)で第68回アカデミー賞助演男優賞を受賞。『セブン』が公開されるまでスペイシーの出演情報は伏せられていたため、ジョン・ドゥが予測不能のタイミングで姿を現す終盤の展開は、当時の観客のド肝を抜いた。この意表を突いた演出は『ロングレッグス』におけるニコラス・ケイジの登場の仕方に通じるものがある。加えてロングレッグスとジョン・ドゥは、どちらもカリスマ的な悪魔性をまとった悪役であり、捜査官である主人公の人生そのものを破滅へと誘うという共通点もある。
おそらく『ロングレッグス』は日本でも封切り後にたちまちSNSを介してセンセーションを巻き起こし、サイコホラー/スリラーの革新的な作品として『セブン』のように長く語り継がれるだろう。ちなみに『ロングレッグス』のオズグッド・パーキンス監督は、このジャンルの歴史的名作であるアルフレッド・ヒッチコック監督作品『サイコ』(60)の主演俳優アンソニー・パーキンスの息子でもある。そんな血筋を受け継ぐ鬼才のこのうえなく斬新な作風にも注目してほしい。
文/高橋諭治
「セブン <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組))2025年3月5日(水)発売決定!
価格:7,480円(税込み)/品番:1000842766/本編4K ULTRA HD:1枚/本編Blu-ray:1枚