綾辻行人、伊藤潤二らが絶賛!『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』“ゾクゾク鑑賞コメント”到着
<コメント>
●綾辻行人(作家)
「劇場デビュー作において『CGなし』、『特殊メイクなし』、『ジャンプスケアなし』という表現にこだわってみせたのは、考え抜いた末の一つの『答え』であり、『決意』でもあったのでしょう。そのことも含め、近藤亮太監督の『ホラー映画』に対する深い想いが、作品の至るところから伝わってきます。──良いです。まずは心からのエールを。同時に、今後の様々な可能性にも大きな期待を寄せたいと思います」
●伊藤潤二(ホラー漫画家)
「Jホラーの遺伝子を受け継いだ新鋭の誕生は頼もしい限りです。幽霊の表現や不気味なエピソードもさることながら、会話のテンポや“間”に、異界へ迷い込む得体の知れない不気味さを感じました」
●氏家譲寿(文筆/映画評論家)
「我々の中にある思考力と創造力が物語と恐怖を生む。それを改めて実感した。『これは何だ…?』。そう思った瞬間、自らが生み出す悪夢の災厄に囚われる。逃げ道はないのだ」
●大森時生(テレビ東京プロデューサー)
「私たちはなにを恐いと思うのだろう。そしてなんでそれを恐いと感じるのか。それらの問いに対する回答はどこまでも個人的なものだ。ただ、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』はそれに対する一つのアンサーとなりうる。それもとびきり強烈な。恐怖は、記憶と共鳴する。そしてノスタルジーと接続した時、それは逃れられないものとなる。『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、その不気味さから逃れることを許してくれない」
●小野不由美(小説家)
「不安で不穏な正統ホラー。しんしんと怖い。監督のホラーに対するストイックな在り方に感服した」
●かいばしら(俳優/YouTuber)
「古き良き恐怖作品郡の風合いも漂わせしっとりと展開する品の良さ、油断しているとスクリーンからJホラーの新風がゴウゴウと吹き荒れ身体がキンキンに冷えていく。途方もない暗黒の濃さに末長く悪夢として顔をのぞかせてくれる予感が…。どうしてくれるんだ!!」
●川上十億(漫画家)
「行方不明の弟を探す男と、霊感のある友だち、そしてその2人を追う記者。この3人が弟の失踪直前を映した古いビデオテープを元に真相を追っていくホラー作品。登場人物の温度感が全体的に低く、大袈裟なリアクションやジャンプスケア、グロ表現などに頼らない、ファンタジー感を極力そぎ落とした画作りが素晴らしい。作品全体に終始漂うじめじめとした嫌な空気感と、起こる出来事の妙な違和感の積み重ねでじわじわと闇に近づいていってるような感覚は、古き良きJホラーの気持ちよさを感じた」
●木下龍也(歌人)
「トンネルだと思った。スクリーンの光が出口に見えたから。もうすぐ辿り着けそうな希望に見えたから。でも違った。104分後に出口は消えて、濃い闇に取り残される。もういいかい?身体が呼んでいる。もういいかい?日常が呼んでいる。けれど、応答することができない。この映画は足を踏み入れた時点で手遅れの洞窟。迷子になった僕の心は、まだそこを彷徨っている」
●くるむあくむ(作家)
「上映中は終わりのない不穏さがきっと貴方に付き纏う。存在の定かではない“何か”の輪郭が見え隠れし、こちらが見入ってしまう度に引きずり込まれそうになります。一つ一つの静寂が印象に残り続ける作品でした」
●SYO(物書き)
「ジャンプスケアに浸食され気味なJホラー界の新星にして救世主。こんな静寂と余白の恐怖をずっと待っていた。猛烈に支持します」
●田口翔太郎(漫画家)
「静かで、ずっと、不穏。たまに、いまのセリフなんて言った?って思うくらい静か。それでも問題無く観られるのは言葉に頼らなくてもいいから。最低限の情報で恐怖を演出する手腕に脱帽しつつ震えて観てました。それでいて、少し、哀しい」
●寺内康太郎(「フェイクドキュメンタリーQ」)
「ジャパニーズホラーには優劣はなく『陰』と『陽』を持つ作品が存在して、それはどちらもなくてはならない存在である。日本ホラー映画大賞作品では『みなに幸あれ』が『陽』で、今回の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は見事にまで『陰』。『陰』が持つ特有の厭さが、張り詰めた恐怖として画面から音声からもあふれ出ている」
●梨(作家)
「恐怖や不快とは少し異なる、圧倒的な『異質』がそこにはあった。『私は、ちゃんと帰れるのだろうか』。鑑賞後、そんなことを考えながら映画館を出る私の足取りがやけに重かったのを、鮮明に覚えている」
●南波志帆(アーティスト)
「夜の山に足を踏み入れた時に感じたことのある、人間や動物以外の『何か』がいる気配。その空間自体がしっとりとした特有の湿度と深く濃い香りを持っていて、まるで生と死の狭間にいるような、ある意味では神秘的で、だけども言葉では言い表せない畏怖の念を抱いてしまう、そんな感覚と鳥肌を強烈に思い出しました。何気ない日常に、大きく口を開けているあちら側の世界。実は、境目は案外曖昧なのかもしれない。終始静かなトーンで丁寧に紡がれる物語だからこそ、じわりじわりと沁みてくる恐怖と没入感が凄かったです」
●人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
「直接的なホラー演出は行わない。霊すらもほぼ出ない。こちらの想像を極限まで掻き立てさせ、映像だけでは辿り着けない恐怖を味わわせる。リアルなビデオ映像や異様に淡々とした語り口は、まるで実話怪談のよう。日本らしいホラーに立ち返りつつ、そのイメージを更新する作品が誕生した」
●野水伊織(映画感想屋声優)
「幽霊だとかヒトコワだとか、名前を付け定義することで安心しようとする我々を嘲笑うかのごとく、“わからない”恐怖が充満している。そこかしこにちらばる違和が結びつき、それが確信に変わる“ある台詞”を聞いた瞬間には本当に背筋が冷え切った。はたと気がついたら、私もあの山にいるのかもしれないとすら思える。これはもう、観る怪談だ」
●外本ケンセイ(漫画家)
「さざ波の様な違和感が確信に変わり底無しの絶望へと飲み込まれる。VHSの映像表現を含め全てがじめっとして、それが懐かしくて心地良くて恐ろしい。新たなJホラーのスタンダードになって欲しいと思える作品です」
●的野アンジ(漫画家)
「私たちはこの怪異の正体に近づきたくないのに近づき、見たくないのに目を凝らしてしまう。何かに誘導されているようで不気味です」
●皆口大地(「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリーQ」)
「この映画は恐怖を描いています。それは遠くて小さい存在かもしれないし、大きくあなたのすぐそばにいるかもしれません。この映画にモンスターや悪役、殺人鬼は登場しません。しかしそれよりもあなたにとって怖い存在が登場しているかもしれません。登場するキャラクターが丁寧に魅力的に織りなす湿度の高い恐怖をしっかりと感じ取って下さい。恐怖の正体がどんな輪郭をしてどんな姿をしているのか?それはあなた次第かもしれません」
●山森めぐみ(漫画家)
「静かなストーリー展開から、徐々に増していく違和感と得体の知れない気持ち悪さ。特にビデオテープの画質の粗さと音の使い方が巧妙でゾクゾクします。ホラーとしての側面だけではなく、突然消えた弟を巡る家族間の言いようのない感情にも触れられていて気持ちが揺さぶられました。含みを持たせたラストには色々な考察ができそうです。続編があるのならばぜひ観たいです」
文/平尾嘉浩