誰かのことを純粋に“好き”になったあの日のことを思い出す『ファーストキス 1ST KISS』など週末観るならこの3本!

コラム

誰かのことを純粋に“好き”になったあの日のことを思い出す『ファーストキス 1ST KISS』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、坂元裕二脚本&塚原あゆ子監督が紡ぐラブストーリー、無人島に漂着したロボットと動物たちの交流を描くアニメーション、爆破犯との交渉に挑むキャスターの姿を描くサスペンスの、個性豊かな3本。

時空を超越した心ときめくドラマ…『ファーストキス 1ST KISS』(公開中)

【写真を見る】松たか子と松村北斗が初共演にして夫婦役を演じる(『ファーストキス 1ST KISS』)
【写真を見る】松たか子と松村北斗が初共演にして夫婦役を演じる(『ファーストキス 1ST KISS』)[c]2025「1ST KISS」製作委員会

ドラマ「カルテット」や『花束みたいな恋をした』(21)、カンヌ国際映画祭脚本賞に輝いた『怪物』(23)などで知られる気鋭の脚本家、坂本裕二の書き下ろしシナリオを、坂本とは初タッグとなる『ラストマイル』(24)、ドラマ「海に眠るダイヤモンド」などの塚原あゆ子監督が映画化したタイムトラベル・ラブストーリー。

結婚して15年目になるカンナと駈は、相思相愛だったはずなのに、いつしか気持ちがすれ違うようになり、口喧嘩が絶えない日々を送るようになっていた。そんな矢先、駈が事故死してしまう。だが、タイムトラベルの術をひょんなことから手に入れたカンナは若き日の駈と再会。出会ったころの彼にもう一度恋をすると、駈の死を阻止するために奔走する。

そんな時空を超越した心ときめくドラマが、塚原監督のスピーディなタッチとカンナに扮した松たか子のあり得ないような状況さえもあり得るように感じさせる時にコミカルな芝居で紡ぎだされていく。しかも、駈を演じた松村北斗の現在と少しずつ状況を理解するようになる過去の芝居の温度差やグラデーションも絶妙だから、カンナは駈のことを救うことができるのか?どうやって救うのか?いやいや、その前にそんなことしていいのか?と考えながら目がスクリーンに釘づけになり、次第に笑いながらも胸に熱いものが込み上げてくるのだ。

偶然の出会いから恋におちる恋人たちの5年間を描いた『花束みたいな恋をした』とは違うアプローチで、危うく不確かなのに絶対的な強さを持つ“恋”の真実に迫った新たな坂本裕二ワールド。誰かのことを純粋に“好き”になったあの日のことが自然に思い出されるに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)

主人公のロボット、ユニークな動物たちにもどんどん愛着を感じてしまう…『野生の島のロズ』(公開中)

ドリームワークス・アニメーション最新作となる『野生の島のロズ』
ドリームワークス・アニメーション最新作となる『野生の島のロズ』[c]2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.

「シュレック」、「ヒックとドラゴン」シリーズのドリームワークス・アニメーションの30周年記念作品で監督は『リロ&スティッチ』(02)のクリス・サンダース。それだけでも期待が爆上がりしてしまうが、そんな予想をゆうに超える映像体験が待っていた。児童文学「野生のロボット」が原作ということで、絵本からそのまま動きだしたかのようなアニメーションには躍動感があり、一方で海や森林といった自然の描写はとてつもなくリアル。無機質で表情変化に乏しいはずなのに感情豊かな動きを見せる主人公のロボット、ユニークな動物たちにもどんどん愛着を感じてしまう。

このように特筆すべき映像があるなかで、本作が大きな感動を生む要因になっているのは、ロボットのロズと雁のひな、キラリの間で育まれる母子の絆にある。プログラムに従うのをやめ、動物たちからサバイバルスキルを学んで子育てに奮闘するロズと、彼女を母と慕いながらも時に反発するキラリ。そんな2人を側で見守るのけ者だったキツネのチャッカリといったキャラクターにもシンパシーを感じることができ、様々な感情がこみ上げてくるはず。さらに、クリス・バワーズが手掛ける劇伴も推したい。渡り鳥であるキラリがロズのもとを飛び立ち、より広い世界へと羽ばたいてくスペクタクルを壮大に盛り上げていて感涙必至。このシーンだけでも何度も劇場に通いたくなる!(ライター・平尾嘉浩)

ジェットコースターのようなライド感でクライマックスまで突っ走る…『ショウタイムセブン』(公開中)

阿部寛が主演を務めるサスペンス『ショウタイムセブン』
阿部寛が主演を務めるサスペンス『ショウタイムセブン』[c]2025『ショウタイムセブン』製作委員会

ニュースキャスターが番組内でテロ犯人の交渉人になるサスペンス。ラジオのDJをしている元テレビキャスター折本の番組内で、リスナーを装った男が爆弾テロを予告。その直後、発電所で爆発が発生した。再び男からの電話を受けた折本は、彼とのやりとりをテレビで放送しようと思いつく。つねに相手の先を読む知能犯と、機転の速さと巧みな話術が武器のキャスターがハイテンションな攻防戦を繰り広げる本作。

テレビのスタジオ内というシチュエーションにもかかわらず、ジェットコースターのようなライド感でクライマックスまで突っ走る。そのスピード感や二転三転していく展開は、リアルタイム型サスペンスの醍醐味だ。阿部寛の芝居がかったキャラ作りも、ニュースの娯楽番組化や視聴者誘導が止まらないいまの時代によく似合う。メディアのあり方にも釘を刺した本作は、いま観るべき映画なのである。(映画ライター・神武団四郎)


映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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