スーパーボウル週末の北米興収は、バレンタイン・ホラー『Heart Eyes』が大健闘!『劇場版「進撃の巨人」完結編』の限定上映も存在感を発揮

スーパーボウル週末の北米興収は、バレンタイン・ホラー『Heart Eyes』が大健闘!『劇場版「進撃の巨人」完結編』の限定上映も存在感を発揮

先週末(2月7日から2月9日)の北米興収ランキングは、全体の興収が5392万ドルでトップ10圏内の作品の合計興収が4631万ドルと、約1年ぶりの低水準。もちろんこれは、北米最大のイベントであるNFLスーパーボウルが2月9日に開催された影響であり、近年ではスーパーボウル開催週末が年間を通して最も興収が低い週末となる。要するに、さほど懸念する数字ではなく、逆に言えば今年の“底”が見えたと捉えることもできる。

2020年から2022年にかけてはコロナ禍の影響が色濃く残っているため度外視するが、2023年のスーパーボウル週末の全体興収は今年と同程度の5262万ドル。この年は9月にもう一度閑散期が訪れることになったが、年間興収は前年比120%の89億ドル。昨年は全体興収が過去最低レベルの3700万ドルしかなく、その後も何度も閑散期に見舞われ年間興収は85億ドル止まり。今年はこれ以上の閑散期が訪れず、繁忙シーズンの大作がうまくいけば年間興収90億ドル台も見込めるかもしれない。

一年で最も映画館が閑散とするスーパーボウル週末に、あえてぶつけてきた『Heart Eyes』
一年で最も映画館が閑散とするスーパーボウル週末に、あえてぶつけてきた『Heart Eyes』[c]Everett Collection/AFLO

さて、ランキングのほうは前週初登場1位を飾ったドリームワークス・アニメーションの『Dog Man』がV2を達成。週末3日間の興収は1380万ドルで、前週比は38.4%。少々大きな下落が見られたが、スーパーボウル週末にしては踏みとどまったほう。累計興収は5400万ドルを突破しており、とりあえずは製作費の4000万ドルを超えることには成功。スピンオフ元である「スーパーヒーロー・パンツマン」の2017年公開の映画版の最終興収7392万ドルが当面の目標となりそうだ。

2位と3位には新作タイトルがランクイン。2位に初登場を果たしたのは、ジョシュ・ルーベン監督の『Heart Eyes』。バレンタインデーの日に現れてはカップルを惨殺するシリアルキラーとの戦いを描くという、どこかで聞いたことがあるプロットのスラッシャー・ホラー・コメディだ。初日から3日間の興収は830万ドルと決して高くない。一方、3位に初登場を果たしたのはキー・ホイ・クァンとアリアナ・デボーズ共演のアクションコメディ『Love Hurts』で、こちらはわずか580万ドルのオープニング興収にとどまっている。

スーパーボウル週末に当ててくるタイトルということで、スタジオの期待値はさほど高くないのは明白だが、批評集積サイト「ロッテン・トマト」で予想外の健闘を見せているのは『Heart Eyes』の方。批評家からの好意的評価は81%となかなかの高さであり、平日に入ってからの興行も堅調。現地メディアの報道によると、観客の男女構成費は見事に半々であり、約6割の観客が25歳以上。全体の40%の観客がデート映画として利用していたようで、公開タイミングはぴったりだったようだ。


週明けの2月10日には、クランチロール提供のもと『劇場版「進撃の巨人」完結編 THE LAST ATTACK』(日本公開中)が北米525館で1日限定上映(Box Office Mojoでは11日以降の興収データもあがっているが)。登場キャラクターであるミカサの誕生日合わせということもあってか、デイリー興収では168万ドルと、2位にダブルスコア近くの差をつける1位発進。同作の海外での人気の高さを改めて見せつける結果となっている。

【写真を見る】ミカサの誕生日に1日限りの北米上映!「進撃の巨人」が海外人気の高さを証明
【写真を見る】ミカサの誕生日に1日限りの北米上映!「進撃の巨人」が海外人気の高さを証明[c]諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会


文/久保田 和馬

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