ピクサー、キャラ作りの真髄は“ストーリー”にあり!【ピクサー現地取材レポート2】
11月22日(水)にMovieNEXがリリースされるディズニー/ピクサーの最新作『カーズ/クロスロード』。魅力が詰まった本作のクリエイティブの秘密を探りに、アメリカのピクサー・アニメーション・スタジオへ突撃取材!
第2回は、クリエイティブ・ディレクターのジェイ・ウォード氏に多彩な“クルマ”キャラクター誕生の制作秘話を聞いた。
主人公のマックィーンを引退に追い込む次世代レーサーの“ジャクソン・ストーム”、さらにマックィーンのトレーナーにしてパートナーとなり大活躍する“クルーズ・ラミレス”など、数々の新キャラクターが登場する『カーズ/クロスロード』。
物語を彩る魅力的なキャラを生み出す秘訣を尋ねると、ウォード氏は「観てくれた人たちが『カーズ』のキャラクターとして共感してくれるかどうかが最も重要なポイントなんだ」と語ってくれた。
「自動車であることはその次なんだ。例えば見た目だけで『このクルマはかっこいい』と言われても、実際にそれが“良いキャラクター”でなければまったく共感してもらえない。だからこそ僕らは“このキャラクターは魅力的か?”“観客にキャラクターの気持ちが通じるのか?”ということをしっかり考えるんだよ」
「ピクサー作品に共通して言えることとして、まず最初にやることは素晴らしいストーリーを作ることだ。全神経を注いで確固たる物語ができたら、どういうキャラクターになるかはおのずと決まってくる」と語る。
『カーズ』シリーズの“クルマの世界”や、『トイ・ストーリー』シリーズの“おもちゃの世界”など、誰もが知らない世界であるはずなのに、誰もがワクワクできるストーリーが展開する歴代ピクサー作品は、世界観やキャラクターの設定などより“物語”の骨子を作ることから始めているのだ。
その上で『カーズ/クロスロード』の魅力的な物語に登場するキャラクターたちのビジュアルはどのように決まっていったのだろうか?豊富な自動車知識を持つウォード氏の口からは驚きの回答が返ってきた。
「キャラクターを作る際に『参考にした本物の車に見えないように気を付けて』と言ったんだ。この作品に登場するクルマたちは、僕たち自身のものだから、実在する車を感じられるようにすべきではないと考えている。各キャラクターの特徴がオリジナルのデザインになるようにしたんだ」
「女性のクルマ、男性のクルマでも変わってくる。女性キャラクターのフロントガラスにはアイライナーを入れたり、曲線的なフォルムにしたりするなど細かい部分にまでこだわっているよ。それは見た目だけの話ではなく、例えばライバルのジャクソン・ストームは、攻撃的な性格だからそれを表すようなエンジン音にもしているんだ」。
それを実現するためには、膨大な時間と手間がかかっている。少し気弱ながらマックィーンと共に成長していくクルーズは応援せずにはいられないし、挑発的な態度と圧倒的な走りでマックィーンを追い詰めるストームもどこか憎めない。
『カーズ』シリーズのクルマたちが愛される理由は、物語作りとキャラクターデザインへのこだわりがそうさせているのだとわかった。ぜひMovieNEXでは、そのこだわりのキャラクター造形に注目して何度も楽しんでみてほしい。
インタビューの最後に『カーズ』シリーズに続編があるとしたら、誰が主人公になるかをウォード氏に聞くと「マックィーンは僕たちがもう10年間付き合ってきたヒーローなんだ。彼とはとても強い友情があるし、熱心なファンたちもいる。だから、何があろうと彼が作品に関わるのは間違いないと思うよ。まだ何もわからないけどね。僕自身は『カーズ』シリーズが長い間生き続けることを願っている。何より生みの親のジョン・ラセターにとっても本作は大切なものだからね」。
取材・文/Movie Walker
2017年11月22日(水)発売
『カーズ/クロスロード MovieNEX』/4,000円+税
『カーズ/クロスロード 4K UHD MovieNEX』/7,800円+税
『カーズ/クロスロード MovieNEX ギフトボックス』/9,000円+税
デジタル先行配信中