松坂桃李が「どんなお下劣、変態でもやります」とベタ惚れ!『孤狼の血』白石和彌監督、早くも続編に意欲
柚月裕子の同名ベストセラー小説を『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』で多くの映画賞に輝いた鬼才・白石和彌のメガホンにより映画化する『孤狼の血』。
公開日は2018年5月12日(土)とまだ半年も先だが、早くもその出来栄えが口コミで話題となっている本作を一目見ようと、11月17日に銀座・丸の内TOEIにて行われた業界関係者向けお披露目試写および白石和彌監督によるトークイベントには、寒空の下、座席を求めるマスコミ関係者の長蛇の列ができ、あっという間に会場は満員札止めとなった。
本作の舞台は、昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島。所轄署に配属となった日岡秀一(松坂桃李)は、暴力団との癒着を噂される大上(役所広司)とともに、金融会社の社員失踪事件を捜査する。常軌を逸した大上の捜査に戸惑う日岡。失踪事件を発端に、対立する暴力団組同士の抗争が激化していく…。
126分間、息もつかせぬ熱量に満ちた本編の上映が終わり、場内の明かりが点くや、どこからともなく拍手が起き、次第には歓声までが上がる。MCの呼び込みで白石和彌監督が登壇すると、会場内は一際大きな拍手に包まれた。
客席からの賛辞に照れ笑いを浮かべる監督に、思わぬサプライズが。なんと、主演の役所広司、共演の松坂桃李から文面でコメントが届いており、MCが代読した。
還暦を迎えなお、体当たりでハードな役柄を演じきった役所は「本当に楽しい撮影でした。役者という人種はスクリーンの中で暴れたいんだな、普段言えないような言葉を吐きたいんだなと、つくづく思いました。監督の時代劇映画も期待しています。また、いつか白石組で働ける日を楽しみに待っています!」とべた褒め。
このコメントを聞いた監督は「ずっと時代劇をやりたいとあちこちで言っていて、役所さんにも現場で何回かお話していたので、このコメントを頂いたということは演ってくれるということですね」とニヤリ。
現在公開中の『彼女がその名を知らない鳥たち』から続けての白石組登板となる松坂は「監督…どんな下衆だろうが、お下劣だろうが、変態だろうが、バイオレンスだろうが、もし入れそうな役があったら是非呼んでください。ちょっとの時間でもお願いします。現場、本当に楽しかったです!」と、心酔ぶりを吐露。
監督も「嬉しいですね、なかなかの忠誠心です(笑)。使い倒していこうと思います」と応え、信頼関係を覗かせた。
第69回日本推理作家協会賞に輝くなど、高く評価された原作を映像化するための工夫については「原作は下品な部分が少なくて清涼なのですが、そこは自分と(脚本の)池上さんの得意分野なので(笑)。エネルギッシュな感じも出せるようにしつつ、日々原作を読みながら撮影に挑みましたね」と明かした。
また、ロケでの撮影にこだわっている事で知られる白石監督だが、今回も広島県呉市でオールロケを敢行。「呉市の皆さんが協力的でとても有難かったです。エキストラでボランティアの方々を募集して、ヤクザ役はどうなるのかなと思っていたのですが“本職?”というような恐そうな方々が来てしまって(笑)。でも皆さんとても熱くて、やはりこういった映画を待っていたんだなと思いました」。
原作者の柚月は初号試写を観終わった後、号泣したそうで「柚月先生は『仁義なき戦い』が大好きという素晴らしい方で、先生に喜んで頂いた事はこれ以上ない幸せですね」と語った白石監督。
締めの挨拶では「昨今の日本映画にはない作品で、周りの期待値をひしひしと感じます。役所さんと松坂君も続投で次回作ができるよう、そしてこう言った作品がもっと増えてくるよう、この映画を応援して頂ければと思います」とコメントし、早くも続編への意欲を見せた。
取材・文/Movie Walker