生田斗真初主演映画『人間失格』監督が映画化を引き受けた理由

インタビュー

生田斗真初主演映画『人間失格』監督が映画化を引き受けた理由

生田斗真映画初出演・初主演で、文豪・太宰治の代表作を映画化した『人間失格』(2月20日公開)。メガホンをとったのは、『赤目四十八瀧心中未遂』(03)の荒戸源次郎監督だ。荒戸監督に、本作にかける思いと、長年親交がある大楠道代とのエピソードを語ってもらった。

太宰文学の最高峰とされる「人間失格」を荒戸監督はどうとらえたのか。「『人間失格』はとても上手い小説で、多くの読者は『これは自分のことだ』『この気持ちを自分だけは理解できる』と思わされてしまう。しかし、現代の若者がこの小説に影響を与えられているかということに関しては『果たしてどうかな?』と、私は思っています。ただ、読み手それぞれが異なる『人間失格』を持っている稀有な小説だとは思います。その映画化の話をいただいたんだから、最初は正直、とても手に負えないと思いました(笑)」。

そう思いながらも、監督を引き受けた理由とは? 「厄介だからこそやってみようという天邪鬼の血が騒いでしまって(笑)。原作負けをしないように、今の私のすべてを注いで取り組みました。一度でも読んだことがある方には、先入観なく観ていただけるとうれしいです。角川文庫の『人間失格』は斗真が表紙だし、久々に読み返してみようとか思ってもらえると(笑)。何十年か前のキャッチコピーではないけれど、『読んでから見るか、見てから読むか』。そのどちらでも楽しめる映画になったと自負しています」。

生田扮する葉蔵たちが通うBAR「青い花」のマダム・律子役に扮したのが、長年親交がある大楠道代だ。監督が“戦友”と呼ぶ大楠の素顔を語ってくれた。

「三十年来の映画の戦友ですね。今までに映画作りから離れても付き合いがあった俳優さんは、3人かな? 原田芳雄さんと亡くなった松田優作さんと、大楠道代さんだね。でも、一番男らしいのが女性の大楠さん(笑)。彼女を前にすると、どんな秘密も話してしまいそうになるよ(笑)」。

本作で、最初にオファーしたのも大楠だったと言う。「マダム・律子という贅沢で退廃的な役柄は、大楠さんしか考えられませんでした。相変わらずきれいですし、とても素晴らしかったです。大楠さんがスクリーンに登場するだけで、何とも言えないデカダンな空気を感じますよね。普段から、ああなんだよ(笑)。ちょっとコワイでしょ(笑)。私にとって、とても大切な女優さんです」。

最後に、本作で伝えたいメッセージを聞かせてください。「よくそう聞かれるんですが、私はメッセージを伝える手段として映画を作っているわけではないんです。観てくださった方が、いかようにでも感じてくれればいいと思っています。映画は観客のものですから。『人間失格』を観てくれた若い人たちが『映画ってこういうものなんだ。また映画館で映画を観ようかな』と思ってくれれば、とても幸せですね」。

太宰文学の世界観を活き活きと映し出した荒戸源次郎監督作『人間失格』。生田斗真が、映画初主演作ながらも、大楠道代をはじめ、寺島しのぶ、石原さとみ、小池栄子、坂井真紀、室井滋、三田佳子というそうそうたる顔ぶれの女優と渡り合っている点にもぜひ注目して。【Movie Walker/山崎伸子】

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