大泉洋、悲願の主演男優賞に輝く!?「僕じゃなかったらどうしようかと思った」
北海道・札幌の繁華街すすきののバーに入り浸る私立探偵と、その相棒が様々な難事件に巻き込まれていく人気シリーズの最新作『探偵はBARにいる3』の公開を記念して、東京・銀座の丸の内TOEI1で、大泉洋の主演映画7作品を集めた“大泉洋映画祭”が開催。初日の11月22日、映画祭の主役である大泉洋と“世界一の大泉洋ファン”を公言している前田敦子が舞台挨拶に登壇した。
演劇ユニットTEAM NACSの一員としてキャリアをスタートさせた大泉は、北海道テレビの人気深夜番組「水曜どうでしょう」でブレイク。北海道を飛び出して、徐々に知名度を上げていった彼は、多数の映画やドラマに出演し『千と千尋の神隠し』(01)などで声優を務めるなど、マルチに才能を発揮。
自身の活動の幅を拡げるだけでなく、森崎博之、安田顕、戸次重幸、音尾琢真らTEAM NACSの他のメンバーが全国区で活躍するきっかけを作った立役者といってもいいだろう。そんな彼が、ついにめぐり逢った映画俳優としてのハマり役が、この「探偵はBARにいる」シリーズの主人公“探偵”役なのだ。
今回の“大泉洋映画祭”では、シリーズの前2作はもちろんのこと、北海道を舞台にパン屋を営む夫婦を描いた『しあわせのパン』(12)、名古屋を舞台に自由気ままな元パンクロッカーの男を演じた『グッモーエビアン!』(12)、お笑い芸人・劇団ひとりが監督を務めた『青天の霹靂』(14)、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した『駆込み女と駆出し男』(15)、人気漫画を原作に大ヒットを記録した『アイアムアヒーロー』(16)が日替わりで上映される。
舞台挨拶に登場した大泉は「大泉洋“国際”映画祭にお越しいただきありがとうございます。世界“4大”映画祭に数えられるこの映画祭では、厳正に選ばれた7作品が上映されます。本当にどの作品がグランプリを取ってもおかしくない作品だと思っています」と茶目っ気たっぷりのコメント。
とはいえ、自身の作品が映画祭として上映されることを最初に聞かされたときに「え?」って聞き返したことを明かした大泉。その時のマネージャーとのシュールな時間を再現し「驚きましたね」と率直なコメント。しかも、義理の母からも「すごいですねぇ」と言われて返す言葉に困ったと、今朝の出来事を振り返った。「本当に国際映画祭だと思ってるんじゃないかな」と苦笑いを浮かべ、会場は大きな笑いで包まれた。
ファン代表として登場した前田は「ファンの方と大泉さんの絡みを見るのが好き」だとコメント。そんな大泉の魅力について「“みんなの友達・大泉さん”みたいな感じで、誰にでも明るく接してくれる。俳優としては、普通にファンです」と出演作品をほとんど観ていることも明かした。それを受けて大泉も、前田の演技を絶賛し「すぐに世界に出てしまう女優なんじゃないかなと思う」と真面目に返した。
舞台挨拶は大泉の弾丸トークと前田の、テンポがよくコミカルな掛け合いで、会場を大きく沸かせた。そして終盤、突然にも映画祭の定番である受賞式が行われることが発表されると、会場中は爆笑の渦に。部門は最優秀主演男優賞ひとつだけ。ノミネートされたのは、大泉洋ただひとり。
プレゼンテーターとして前田敦子が読み上げた、記念すべき第1回“大泉洋映画祭”の記念すべき最優秀主演男優賞の受賞者は、もちろん大泉洋。7作すべてで栄誉を勝ち取ったのである。「万が一、僕じゃなかったらどうしようかと思いました」と語ると、この日一番の爆笑が巻き起こった。
アカデミー賞の授賞式さながらに感極まる大泉に、会場からは「おめでとう!」などの温かな声援が寄せられた。そして「まさか獲れるとは思っていませんでした。1回目の主演男優賞というのは光栄なことだと思います」と高度なボケを繰り出すと、映画祭ポスターのビジュアルに写る大泉の姿をかたどったトロフィーを見つめ「若干髪型が大仏感があるからもう少し作りこんでくれるとよかったなあ」とボヤいた。
『探偵はBARにいる3』は、東直己の「ススキノ探偵」シリーズを映画化したシリーズ第3弾。相棒・高田の後輩の恋人の行方を捜してほしいという依頼が舞い込み、安易に引き受けた探偵。調査を進めていくうちに、風俗店のオーナー、マリに妙な既視感を覚え、さらに裏社会の殺人事件に巻き込まれていくのである。
2011年に公開された『探偵はBARにいる』は想像を上回る出来栄えに、日本アカデミー賞をはじめ数多くの映画賞を受賞。そして2013年に公開された『探偵はBAR2いる2 ススキノ第交差点』もヒットを記録。満を持して公開されるシリーズ第3弾は、シリーズ最高傑作との呼び声も高い、今年の冬映画の大本命。12月1日(金)の“映画の日”から全国ロードショーされる。
取材・文/久保田和馬