山田愛奈、大女優の予感!?オーディションに遅刻も監督からは絶賛
現役のAV女優・紗倉まなの処女小説を『ヘブンズ・ストーリー』(10)や『64-ロクヨン-』(16)の瀬々敬久監督が映画化した『最低。』が公開初日を迎えた11月25日、東京・角川シネマ新宿で初日舞台挨拶が開催。主演を務めた森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈の3人と、瀬々監督が登壇した。
本作は、2012年にSODクリエイトの専属女優としてデビューを果たし、数多くのAVに出演するかたわら、雑誌にコラムを連載してきた紗倉が、2016年に発表した小説を原作にしたヒューマンドラマ。AVという共通点を持つ、まったく異なる境遇の3人の女性を主人公に、彼女たちが自分らしく生きようとする様を描いていく。
夫との暮らしに息苦しさを感じ、逃れるようにAVの仕事に飛び込んだ美穂を演じた森口は「女性の居場所や自信を探し求めている描写に共感することができた」と原作を読んだときに抱いた感想を語った。そして「私自身が身をもって表現することで、誰かの勇気に繋がってくれたら嬉しいです」と笑顔を見せた。
そんな森口は、本作で初めて体当たりの演技に挑戦し、清楚な役柄に秘められた色気を巧みに演じている。「普段は“色っぽい”と言われたことがなくて、でも本作の後から言われるようになったので、美穂と同じように自信を持つことができました」と、演出によって色気を引き出してもらえたと告げると、瀬々は「あれは森口さんの素の部分です」と照れ隠しのコメントを披露した。
一方で、多くの映画でそのセクシーさを見せつけてきた佐々木は、自分のこれまでの演技経験を「脱ぎ倒してきました」と大きく笑ってみせた。劇中で彼女はAV女優を天職だと信じて疑わない彩乃役を演じている。AV撮影のシーンの演技の強弱に悩みながら演じたと語りながらも「脱ぐことに抵抗はないです」とコメントし、笑いを取った。
そして今年の春からファッション誌「non-no」の専属モデルとして活動する山田は、元AV女優の母親に振り回され、絵を描いているときだけ安らぎを感じることができる女子高生・あやこを演じた。彼女が喋ろうとすると、思わず笑い出す瀬々。「なんで笑ってるんですか!」と山田が笑顔でツッコミを入れると「山田がちゃんとしゃべれるか心配で」と親心を見せた。
2015年にデビューし、本作で演技初挑戦となる山田は、初めてとは思えないほど堂々とした演技を見せている。「監督があたたかく厳しいご指導してくださって、最後まで演じ切ることができました。良い女優スタートのきっかけになりました」と笑顔で演技デビューを振り返ると「ぜひ監督の次の作品にも出たいんですけど、もっと褒められるように頑張りたい」と女優としての意気込みをあらわにした。
そんな山田は、タイトルにちなんで「人生で一番最低だったことは?」と訊ねられると「オーディションの1回目のときに大遅刻をしてしまった」と明かした。そして「今まででこんなに焦ったことはないぐらい焦りました。そのときの監督やスタッフのみなさんの顔が怖くて忘れられない」と振り返った。
それでも無事にオーディションに合格し、あやこ役を獲得した山田。遅刻したことが功を奏し、監督の印象に残ったようで「鼻の頭に汗かいてきたのが可愛かった」と、微笑む瀬々。そして「オーディションではすごくパワフルな演技を見せてくれた。山田はすごいです」と彼女の今後の活躍に太鼓判を押した。
取材・文/久保田和馬