この原作がなかったら『スター・ウォーズ』は生まれなかった!?フランス発の超大作『ヴァレリアン』とは?
現在公開中の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は世界各国で大ヒットを記録し、同時にその内容に賛否両論が巻き起こっている。ジョージ・ルーカスの手を離れ、ライアン・ジョンソン監督が描いた‟衝撃”の展開は、シリーズの新しい可能性を示してくれたとも言えるし、初期の世界観を愛するファンには複雑な思いを抱かせてもいるようだ。
ジョージ・ルーカスのアイデアの原点?
そんななか、日本では来春公開の『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(18年3月30日公開)と『スター・ウォーズ』初期作品の世界観が似ていると話題になっている。『レオン』(94)『フィフス・エレメント』(97)を手掛けた仏のリュック・ベッソン監督の最新作で、原作は1967年よりフランスで全23巻発行された長寿SFコミック「ヴァレリアン」。多くのクリエイターやSF作品に影響を及ぼし、77年公開の『スター・ウォーズ/エピソード4:新たなる希望』にも設定面で多大な影響を与えたと言われている。
もちろんルーカスサイドが公言したことはなく推測の域は抜けられないが、海外では有志のSFファンが2作の共通点を熱く討論し、海外の出版元が共通点をまとめた動画を作成していたりもする。では実際、どんなところが似ているのだろう?
宇宙船や兵士のビジュアルから注目を
宇宙をパトロールする若き捜査官ヴァレリアン(デイン・デハーン)と美しい相棒ローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)が乗る大型宇宙船イントルーダーXB982。その銀基調&円盤型の構造は、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)が操った宇宙船ミレニアム・ファルコン号にそっくり。
続いて、ヴァレリアンの上官フィリット(クライヴ・オーウェン)の命令にのみ従う戦闘用アンドロイド“K-トロン”軍団。メカニカル&メタリック的な容姿はストームトルーパー、さらに色味的にはダース・ベイダーを彷彿させるデザインになっている。この兵団がヴァレリアンたちとどう絡むのかは、終盤までミステリアスでもある。
またヴァレリアンのパートナー、ローレリーヌの強く勝気なヒロイン像は、お姫様でありながら反乱軍を率先して導いたレイア姫のたくましい精神に通じるものもある。心身の強いヒロインに、原作を読んだベッソンが惚れたのは(彼の作品傾向から)容易に想像が付くが、もしかしたらルーカスも原作コミックを手に取っていたのでは…と、つい思ったりもする。
映画化のきっかけは『アバター』
ほかにも多種多様な異星人&世界をはじめ共通する要素は見ていて幾つか感じるが、宇宙船内&エイリアンはEP4~6を彷彿させる実写特撮的な雰囲気、砂漠の星や海、異星人の宮殿など目くるめく変わる映像&舞台の描写はEP1~3を想起させるようなCG主体の作りで…と作り分けされているようにも思える。ちなみにベッソンが本作を映画化するきっかけは、ジェームズ・キャメロン監督のSF大作『アバター』(09)におけるCGの飛躍的な発達があったと語られている。
肝心のストーリーは、ヴァレリアン&ローレリーヌが広大な宇宙ステーション“アルファ”壊滅の危機に立ち向かう姿がドラマチック&スリリングに描かれる。“こういうデザインは参考にしたかも?”とか“この雰囲気は確かに似ている…?”などと比べて鑑賞してみたくなる(実際、『スター・ウォーズ』でお約束的なセリフ回しも登場する)。2018年の要チェック作の一本を、この機会に覚えておきたい。
文/トライワークス