空前の大混戦といわれる今年のアカデミー賞の大本命『スリー・ビルボード』新予告映像が解禁!

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空前の大混戦といわれる今年のアカデミー賞の大本命『スリー・ビルボード』新予告映像が解禁!

史上稀に見る大混戦が予想されている第90回アカデミー賞で、主役候補のひとつとして大きな注目を集めている『スリー・ビルボード』(2月1日公開)。1月5日、新たな予告映像が解禁となった。

昨年秋に開催されたトロント国際映画祭では、アカデミー賞に直結すると言われている観客賞に輝き、重要な前哨戦のひとつであるゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)を含む6部門にノミネートされている。さらにアメリカ各地の批評家協会賞では、ほぼすべての地域で作品賞にノミネート。マーティン・マクドナー監督に対する監督賞をはじめ、あらゆる部門で旋風を巻き起こしているのだ。

本作が注目を集めているのには、2つの大きな理由がある。まずは、某大物映画プロデューサーのセクハラ問題に端を発し、ハリウッドのみならず世界中が性犯罪に対して敏感になっているタイミングで公開された本作が、奇しくも、ひとつの性犯罪から始まる復讐劇であるということだ。

主人公ミルドレッドは、レイプされて殺された娘の復讐のため、捜査を進展させない警察への告発メッセージを、町外れの大きなビルボードに掲載する。こうして始まる本作は、性犯罪に加えて人種差別や職業倫理など、これまで様々な映画が取り上げてきたような、アメリカ社会が抱える多くの問題を恐ろしいほど淡々と描き出していくのだ。

一度観ただけでは、とても整理しきれないほど多くの問題を投げかけ、観る者の心の奥に潜む些細な偏見さえも鋭利に突き刺していく。はたして本作が描いている“問題”というのは、アメリカ社会だけのものなのだろうか。きっと多くの人が、自分が暮らしている社会と照らし合わせながら、スクリーンの中で起こる出来事を見つめることになるだろう。

そしてもうひとつは、主要キャスト全員が圧巻の演技を見せていることだ。中でもミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドは、96年にアカデミー賞主演女優賞を獲得した『ファーゴ』を超える怪演を披露。徐々にエスカレートしていく驚異的な演技で、主演女優賞の最有力候補として前哨戦ではすでに独走状態。

また、彼女と対立する悪徳警官を演じるサム・ロックウェルと、町中から厚い信頼を寄せられている警察署長を演じるウディ・ハレルソンの2人は、いずれもキャリア最高の演技を見せており、両者揃って助演男優賞にノミネートされるのではと噂されているほどだ。

例年アカデミー賞の有力作品が日本で公開されるのは、授賞式を終えた後ということもあり、ちょっぴり話題に乗り遅れてしまっていると感じる映画ファンも少なくないだろう。しかしながら本作はノミネート発表の直後、2月1日(木)から日本で公開。2017年の映画界を代表する1本となる可能性が高い本作をいち早く堪能し、3月5日(月)のアカデミー賞授賞式に備えてみてはいかがだろうか。

文/久保田和馬

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