‟地球クラッシャー”ローランド・エメリッヒの愛弟子が、師へのトラウマを告白
度重なる異常気象に頻発する自然災害。地球上の生命を脅かしかねない環境問題は喫緊の課題だ。『ジオストーム』(公開中)はそんな地球の未来を予見すると同時に、暴走した気象コントロール衛星が地球を破壊し尽くす様が最新のVFXで描かれている。
新時代の地球破壊は‟衛星”が引き起こす?
映画の舞台となるのは近未来の地球。さまざまな要因から引き起こされた異常気象に対処するため、世界各国が一丸となり“気象コントロール衛星”を開発。全世界の天気は精巧なシステムの下で完璧に管理・制御されていた。ところがある日衛星が突然暴走。世界中で異常気象が発生し、想像を絶する自然災害を引き起こしてしまう。衛星暴走の原因を突き止め、人類を危機から救うために一人の科学者が立ち上がる。
本作で長編映画監督デビューを果たしたのは、脚本家・プロデューサーとして数々のヒット作を手掛けてきたディーン・デヴリン。映画ファンの間で“ハリウッドの破壊王”とも称されるローランド・エメリッヒ監督の『インデペンデンス・デイ』(96)やハリウッド版『GODZILLA/ゴジラ』(98)、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(16)などの作品で脚本・製作を担当した人物。まさにエメリッヒ監督の右腕として、映画をヒットに導いてきた人物。2人は12年間に渡って“師弟関係”であったという。
マスターエメリッヒ、弟子をダメ出しで暗黒面に?
エメリッヒ作品の特徴は、壮絶なディザスター描写だが、デブリンが撮った『ジオストーム』の災害描写も規模や容赦のなさでも引けを取らない大迫力。衛星が暴走し各地で自然災害を多発させるシーンは序盤の見せ場。リオデジャネイロでは海を凍らせるほどの寒波が押し寄せ、その寒波が人間までカチコチに凍らせてしまう。ムンバイでは複数の竜巻が同時発生!東京には直径5m級の巨大な雹が降り注ぎ、ビルや車に容赦なく襲いかかる。香港の街中では地割れが発生し、高層ビルがドミノのように倒壊する地獄絵図が展開される。
まさに12年の蓄積を爆発させたデヴリンだが「いまも『俺ならそんなところにカメラを置かない!なにやってんだよ!』とエメリッヒの声が脳裏に響くよ」と、トラウマめいた師の厳しさを告白している。「私はエメリッヒのほぼ全作品で第二撮影班の監督を務めて、毎晩映像を見せてはダメ出しを喰らっていたよ。それが脳裏に焼き付いているわけさ」
“監督の重圧”を思いやる、師のアドバイス
同時に修行の日々への感謝も明かす。「師弟関係が上手くいったのは、2人とも頭の中で思い描いていた(撮りたい)映画が同じだったからだと思う。だからいまでも彼の影響を感じずにはいられないし、彼と仕事をしていた12年間は私にとって大事な時期だったと思っている。エメリッヒの映画へのアプローチ、映画を作る上で通らなければならないプロセスを観察してきた。その経験がなかったら、『ジオストーム』を作ることはなかったはずだよ」
師弟関係はいまも続いているようで、本作を撮るに際しエメリッヒにアドバイスをもらったという。「『監督というのは失望の連続だよ』とエメリッヒから言われたんだ。『頭では完璧な映画を思い描いていても、来る日も来る日も妥協の連続、撮っている映画がとうとうわからなくなってしまうことがあるんだ』とね。監督としての激務を思って助言してくれたんだろうね」
“地球規模の同時多発災害”を意味するタイトルの如く、脅威的な災害がこれでもかと盛り込まれたディザスター・ムービー『ジオストーム』。師弟関係から生まれた次世代の衝撃“地球クラッシュ”映像をあなたは直視できるだろうか!?
文/トライワークス