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『ザ・リング/リバース』にスペイン出身監督が込めた、Jホラーへのリスペクト

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『ザ・リング/リバース』にスペイン出身監督が込めた、Jホラーへのリスペクト

Jホラーブームの火付け役として、98年に公開された『リング』『らせん』を皮切りに、様々な国で製作されてきた「リング」シリーズ。日本版でメガホンをとった中田秀夫監督がアメリカに渡り製作した『ザ・リング2』以来13年ぶりとなるハリウッド版のシリーズ最新作『ザ・リング/リバース』(1月26日公開)を手掛けたのは、スペイン出身のF・ハビエル・グティエレス監督だ。

「アメリカでのデビュー作で、まさかホラーをやるとは思わなかった」と本音をもらした彼は、2008年の初長編作『アルマゲドン・パニック』で各国の映画祭で評価を集め、本作に大抜擢。「大好きなシリーズなので是非やりたいと思った。鈴木光司さんの原作や、中田監督によるオリジナルの持つ雰囲気を忠実に描こうとチャレンジしたんだ」と語るように、根強い人気を誇るシリーズへの多大なるリスペクトを持って本作に臨んだグティエレス。

彼が手掛けた本作では、進学によって離れ離れになった大学生のカップルが主人公となる。進学を期に連絡が取れなくなったホルトを不審に思い、彼の大学を訪れたジュリアはそこで“見ると7日後に死ぬ”と噂の呪いのビデオを研究するチームと出会う。ホルトの身代わりとなりビデオを見てしまったジュリアは、呪いの連鎖から逃れるため “サマラ・モーガン”という名の女性の過去を辿り始めるのだ。

「よくあるアメリカのホラー映画にならないように、オリジナルが持っている日本の豊かな“センシビリティ”にこだわったんだ」と語るグティエレスは、中田監督の『リング』と『リング2』を参考にしたことを明かす。そして「ハリウッド版の過去2作はすでに完結している。今度は新しいものを始めるという意識を持ち、一からサマラ・モーガンのバックストーリーを伝えるようにしたんだ」とシリーズを改めて構築していく意気込みを感じさせるコメント。

その上でグティエレスがこだわったのは、シリーズの象徴でもある呪いのビデオに映る不穏な映像と、サマラが画面から登場するシーンだ。「中田監督の作った呪いのビデオの、シンプルでシンボリックな映像の雰囲気を出そうと、その場面の写真を壁に貼って研究したんだ」と、ここでもオリジナルへの敬意を見せる。

そして「サマラが画面から出てくる場面は、現代のメディア技術を登場させて遊び心を持って色々試したんだ」とオリジナルから離れた独自のスタイルを織り込んだことを明かし「携帯電話やiPadから登場するなど、とにかく脳裏に焼きつくインパクトのあるシーンにしてみたかったんだ。おかげで後半には『ここまでやっていいのか!?』と思うギリギリの描写に仕上がったよ」と笑顔で語った。

それでも「僕がもっとオリジナルに寄せたいと思っても、たくさんの人が関わる大作だから、そうさせてもらえない部分もあったけどね(笑)」と、作品中では表現しきれないほどの「リング」愛をあらわにしたグティエレス。日本文化から影響を受けて、ハリウッドに挑んだスペインの若き俊英が、今後どのように活躍していくのか期待したい。

取材・文/久保田和馬

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