ついに完結!いま振り返りたい、「新参者」シリーズが愛される理由
累計売上1200万部に迫るベストセラーとなった東野圭吾の“加賀恭一郎”シリーズ。2010年に阿部寛主演で「新参者」としてテレビドラマ化され、2012年公開の映画『麒麟の翼 劇場版・新参者』(11)も大きな話題となった。そして1月27日(土)より「新参者」シリーズ完結編として『祈りの幕が下りる時』が公開となる。足かけ8年に渡って放送・上映された「新参者」シリーズは、なぜ多くの人を魅了し続けるのか?そのワケを多角的に分析してみよう。
働く人たち必見!加賀恭一郎のキャラクター性
東京・日本橋署に赴任してきた加賀恭一郎の最大の武器は、鋭い観察眼。事件関係者との些細な会話から相手の“嘘”を鋭く見抜き、解決の糸口をつかむ。そして頭を使う一方、足で稼ぐ地道な捜査も加賀の持ち味だ。毎週日曜のテレビドラマ放送時、その真摯な姿勢には“また明日から1週間頑張ろう!”と勇気をもらった人も多いはず。そんな加賀がなぜ“新参者”となったのか?最新作では日本橋署に留まる理由や母の失踪など、彼を取り巻く最大の謎が明かされる。
真相は二の次!?“泣けるヒューマンミステリー”
これまで刑事が主人公のドラマや映画は数多く作られてきた。そのほとんどが、謎解きや事件の真相解明に終始したものだが、「新参者」シリーズが斬新なのは「人はなぜ嘘をつくのか」をテーマにした“泣けるヒューマンステリー”という点だ。重きが置かれるのは事件の真相ではなく、その背後にある人間関係と、事件関係者がつかざるを得なかった嘘の“理由”。加賀は巧みな会話術で彼らの懐にスルリと入り込み、彼らのもつれた葛藤をひとつひとつ解きほぐしていく。市井に生きる人たちとの人情ドラマは観る者の共感を誘う。
脇を固めるのは、主役級クラスの俳優たち
幅広い世代の演技派俳優たちが出演する本シリーズ、TVドラマでは溝端淳平、黒木メイサ、向井理らがレギュラー出演。香川照之、杏、倍賞美津子、故・原田芳雄らが脇を固める。『麒麟の翼~』では新垣結衣、中井貴一、山崎賢人、菅田将暉、松坂桃李、さらにスペシャル・ドラマ「眠りの森」(14)では石原さとみら主役級のキャストも参戦。ちなみに最新作のヒロインは松嶋菜々子。過去にある“秘密”を抱えた女性演出家・浅居博美役で存在感を発揮している。
もうひとつの主役“日本橋・人形町”の佇まい
シリーズの舞台となるのは、日本橋・人形町。ドラマや劇場版では、清洲橋や麒麟の翼といった有名スポットから、地元の小さな商店街に至るまで、さまざまな場所で撮影を敢行し、放送以降、舞台散策に訪れる人も増えたそう。下町ならではの情緒が堪能でき、“地域密着型シリーズ”としての側面も大きい本作。最新作では日本橋周辺の12の橋や明治座が、事件の鍵を握るスポットに。劇場を出た後は、探索してみたくなること間違いなし!
ついに幕を閉じる「新参者」シリーズ。ミステリーとしての謎解きと関係者の心の謎があぶり出される人情ドラマ、そこにこれまで明かされてこなかった加賀の“過去”が融合した重厚な物語が展開。まさに最終章にふさわしい感動のラストを、ぜひ劇場で確かめてほしい。
文/トライワークス