松坂桃李、史上初の不気味な笑顔!沢尻エリカが「すごく怖かった」
「グランドジャンプ」で連載中の人気コミックを映画化した『不能犯』(2月1日公開)で、松坂桃李と沢尻エリカが初共演を果たした。松坂は初めてのダークヒーロー役に挑戦。沢尻にとっても刑事役は初の試みとなったが、2人は一体どのように“初体験”に挑んだのか。背筋も凍るような恐ろしいドラマが展開する内容にちなみ、彼らの意外な“怖いもの”までを聞いた。
本作は、思い込みやマインドコントロールで人を死に追いやる男・宇相吹正(松坂)と、その力が唯一効かない刑事・多田友子(沢尻)との対決の行方を描くスリラー・エンタテインメント。黒スーツに身を包み、欲深い人間たちを死へと誘う宇相吹を、美しくもゾクリとした存在感で演じた松坂は「原作のイメージに思い切り寄せようと思った」と役作りを振り返る。
常に右目を前髪で覆われている状態で撮影に臨み、「右目の視力が確実に落ちていると思います」と笑うが、とりわけこだわったのが“ニタァ”という宇相吹のトレードマークでもある不気味な笑顔。観客にとっても、松坂のこんなに不気味な笑顔を目にするのは初めてとなるはずだが、松坂自身「あんなに口角を上げたのは初めてです」と告白。「家でも鏡を見ながら、口角を上げる練習をしました。こんなに口角って上がるんだな!と思いました。人々が自分の思い通りに進んでいく瞬間を目にすると、『あなたもですか。残念ですね』と笑みがこぼれてしまう宇相吹の気持ちがわかったような気がしました」。
沢尻は「現場に入ったときは、松坂さんはすでに宇相吹になっていました。原作の雰囲気とそっくりで『ぴったりだな!』と思いました」と松坂のハマりぶりに驚いたそう。「近づきがたいオーラがあって、すごく怖かった。どう接していいのかもわからなかった」と困惑もあったそうだが、「監督やみんなで一緒にご飯を食べに行ったんですが、そのときには気さくに話すことができて。『あ、ちゃんと人間だ』と安心しました」と茶目っ気たっぷりに明かす。
松坂は「申し訳なかったです」と照れ笑い。「今回は、撮影現場でも宇相吹としてのスタンスでいたほうがいいだろうなと思ったんです。この役には必要なことなんだと思いましたが、正直、孤独感はありましたね…。沢尻さんはスタッフさんたちと気さくにお話されていて、とても楽しそうでした」と宇相吹の佇まいには“孤独感”も欠かせなかったようだ。
一方、正義感あふれる刑事・多田を演じた沢尻は、キレのあるアクションも披露している。「アクションにすごく憧れがあったんです。ものすごくやりたかった」そうで、「オファーをいただいたときに、刑事だ!アクションがある!と思って、すぐにやりたいと思いました」と声を弾ませる。
「アクションのお手本を見せていただいたときには、『いけるかも』と思うんです。でもいざやってみるとなると、全然動けない。いままでやってきたことのない動きをするのって、とても難しいこと。“手錠をかける”という動きも、何回も撮り直しました。初めてのアクションは想像以上に難しかったですが、ものすごく楽しかったです。もっとアクションをやりたいので、トレーニングとしてキックボクシングを始めてみようかなと思っているんです」。
さらに「多田は芯が強くて、自分を持っている女性。それでいて心のなかには温かさも持っている。だからこそ、宇相吹のマインドコントロールにもかからなかったんだと思います。多田のような女性は、私にとっても憧れです」と言うように、憧れの女性像を体現しつつ、アクションにもトライできた作品となったという。
新境地に挑み、充実の表情を見せる松坂と沢尻だが、そんな2人にとって“恐ろしいもの”はあるだろうか?松坂は「お化けです」と即答。「ホラー映画の監督ともご一緒したいと思っているんですが、ホラー映画は怖くて…。いわくつきのところにロケに行ったりするじゃないですか」と怖がると、沢尻が「今回の撮影で行った廃墟は『なにか感じる』と言っている人もいましたよ」と驚きのコメント。松坂は「嘘でしょ!?うわぁ、聞いたのがいまでよかった」と意外な事実に震えまくり。
沢尻は「私はそういうの全然、平気!」とニッコリ。「でもサメが怖いんです。海で泳ぐのも大好きなんですが、『サメが来たらどうしよう』と思ってしまうからサーフィンはできないんです。素潜りもスキューバダイビングも好きだけれど、サメが心配で心の底からは楽しめない!」と教えてくれた。
取材・文/成田 おり枝