ヌーヴェルヴァーグを駆け抜けた女性監督の先駆アニエス・ヴァルダの最新作『Faces Places』が日本に上陸!
50年代から60年代にかけてのフランス映画界を席巻し、映画に新たな潮流を生み出したムーブメント<ヌーヴェルヴァーグ>。その一線級で活躍した監督たちの中で唯一の女性監督としてその名を世に知らしめたアニエス・ヴァルダが、アーティストのJRと共同監督を行った『Faces Places(英題)』が9月に日本公開される。
ヌーヴェルヴァーグ終焉後も、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた『冬の旅』(85)といった劇映画から『落穂拾い』(00)などのドキュメンタリー映画まで幅広く手掛けてきた彼女。女性監督の先駆者として長年に渡り映画界に貢献したことが評価され、2015年にはカンヌ国際映画祭で史上6人目となるパルム・ドール名誉賞、そして今年はアカデミー賞名誉賞を受賞。
一方でJRといえば、一般人が自分のポートレートを送り、大きなポスターになって返送されてきた写真を好きな場所に貼るという参加型アートプロジェクト「インサイド・アウト」で知られる世界的アーティスト。7年前にカンヌ国際映画祭に出品された『Women are Heroes(原題)』以来となる長編作品に挑む。
そんな年齢差55歳の2人がタッグを組んだ本作は、フランスの田舎を旅しながら、人々と接して作品を一緒に作り出していくロード・ムービースタイルのドキュメンタリー。心温まるドラマ性が絶賛され、昨年のカンヌ国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞にあたるルイユ・ドールをはじめ、トロント国際映画祭の観客賞(ドキュメンタリー部門)を受賞。
さらに、ヴァルダ作品としては初めてアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされ、最有力候補との呼び声も高い本作。多くのヌーヴェルヴァーグの巨匠たちがこの世を去る中、コンスタントに作品を生み出しつづけるヴァルダ。キャスリン・ビグローやソフィア・コッポラなど多くの女性監督が活躍している今だからこそ、その礎を築いた彼女の作品に注目していただきたい。