伝説的SFシリーズが20周年を迎え原点回帰!「スターシップ・トゥルーパーズ」最新作を手掛けた監督2人がその魅力を語る

インタビュー

伝説的SFシリーズが20周年を迎え原点回帰!「スターシップ・トゥルーパーズ」最新作を手掛けた監督2人がその魅力を語る

昆虫型エイリアン“バグ”と人類の戦いを描いた「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズの最新作『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』(公開中)。フルCGアニメーションで描かれた前作に引き続き、CGアニメ界の巨匠、荒牧伸志と松本勝が進化を遂げた映像美で魅せる。鬼才ポール・バーホーベンによる第1作から20年、実写版全ての脚本を務めたエド・ニューマイヤーによる熱い物語や、無数のバグとの地上戦など原点回帰が光る一作だ。

地球の植民惑星となった火星で、歴戦の猛者ジョニー・リコは落ちこぼれ新兵たちの訓練に当たっていた。そこへ突如、大量のバグが出現する。

「僕がつくったプロットは松本さんにボツにされました(笑)」(荒牧)

――『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』(12)から5年振りとなる待望の新作ですが、立ち上げの経緯は?

荒牧 「エド(・ニューマイヤー)やキャスパー(・ヴァン・ディーン)が前作を気に入ってくれて『次は一緒にやろうぜ』と誘われていたんです。なので今回はエドに脚本を、キャスパーにリコの声をお願いして、ポール・バーホーベン監督のオリジナル映画に直結した、原点回帰的な作品になりました」。

――松本さんとのW監督というのも新たなスタイルですね。

松本 「『またご冗談を』と思ったんですが、本当でした(笑)」。

荒牧 「実際、プロットの大半は松本さんの発案なんです。僕が最初につくったプロットは松本さんに全ボツにされたので(笑)。おおまかには僕がプリプロまで引っ張って、画づくりは松本さんというイメージで作業を分担しました」。

――ストーリーもコメディ色の強い、実にエドらしい脚本に仕上がっています。

荒牧 「そうですね。今回の主役とも言えるはぐれ小隊を登場させたいと言い出したのもエドでした」。

松本 「リコは相変わらず真面目ですが、小隊のヤツらがかなりお茶目なので、そのギャップが本作らしさだと思います。今回のCGビジュアルも基本はフォトリアルなんですが、表情についてはこれまでNGにしていたようなカットも採用して、偶然生まれるおもしろい表情を生かしました。CGが陥りがちな優等生っぽい画づくりの殻を破ろうと」。

荒牧 「エイミー・スナップスという野心家の女司令官もエドの発案ですね。僕らがなかなか彼女のキャラをイメージできずにいたら、エドがヒラリー・クリントンなど何人かの名前を挙げてくれて、それでイメージが掴めました」。

松本 「舞台や展開といった縦軸は僕らがつくり、魅力的なキャラクターたちのドラマという横軸は、エドが膨らませてくれましたね」。

――火星を舞台にしたバグ戦を取り入れた理由は?

松本 「実写版で当時のファンの度肝を抜いたバグ軍勢との白昼の地上戦を、今回どうしてもやりたかったんです」。

荒牧 「前作ではCGの技術的問題もあり見送ったんですが、それから『アップルシード アルファ』(14)を経たことで『砂漠もイケるぞ』という勝算を持てたんです。ただ、実際にはかなり苦労しました。大量のバグはソフトのプログラムで動かしているんですが、さまざまな障害があり、完成数カ月前まで1匹も画面に表示できていなかった時は、さすがに不安で毎日ドキドキしていました(笑)」。

――最後に、お二人それぞれの本作の推しポイントを教えてください。

松本 「最近のアクション映画は苦悩するヒーローが主流ですが、本作は単純に楽しく観られるエンタメ作です。実写版のようなB級感や王道感をぜひ楽しんでください!」。

荒牧 「そんな活劇の中にも、政治劇やポピュリズム、SNS社会など現代的な要素をまぶしています。そんなところも含めて劇場で堪能していただければと思います」。

取材・文/岡本 大介

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