これを知れば『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』がもっと楽しめる!人物事典・楊貴妃編
『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(2月24日公開)において、文字通りストーリーの核心たる“謎”を抱えた最重要人物が楊貴妃である。唐の九代皇帝・玄宗を虜にした“美しき王妃”とは、いかなる女性だったのだろう?
もともと楊貴妃は皇帝の息子の妃だった
紀元前より乱世を繰り返してきた中国史において、春秋時代の西施、前漢の王昭君、後漢の貂蝉と共に“中国四大美人”に数えられる楊貴妃。719年に生まれ美しさで評判を呼んだ彼女は、16歳の時に玄宗の息子の妃として長安に迎え入れられた。ところが玄宗もその美しさに心奪われ、740年に彼女は玄宗の貴妃として寵愛を一身に集めることとなる。ちなみに楊貴妃の貴妃とは王妃の称号的な意味合いであった。
もともと玄宗の治世は“開元の治”と称され、唐が最も華やかな時代であった。だが楊貴妃を寵愛する余り玄宗は政治への関心を失い、楊貴妃の親族を厚遇するなど臣下から反感を抱かれていく。
755年、ついに不満を爆発させた腹心・安禄山が反乱(安史の乱)を起こす。玄宗は辛くも長安から脱出するが、臣下の怒りを鎮めるには楊貴妃の命を奪うしかなかった。こうして玄宗から死を賜った楊貴妃は38歳で短い生涯を閉じる。彼女が、“傾国の美女”と称されるのは、こうした歴史に起因する。愛する貴妃を失った玄宗は、反乱が収まると密かに彼女を手厚く埋葬したという。
演じるのは台湾出身の美女!
映画では、楊貴妃の死やその埋葬に関する謎を独自の視点で解明。玄宗と楊貴妃が過ごした日々を記した白楽天の詩「長恨歌」にまつわるエピソードを交え、美しくも哀しい愛の物語が描かれる。楊貴妃を演じるのは台湾出身のアジアン・ビューティー、チャン・ロンロン。透き通るような美貌と優雅な身のこなしは、まさに“中国四大美人”級の風格を持ち、吹き替え声優を務めた吉田羊の艶やかな演技がその気品を際立たせる。
劇中では真っ赤な衣装に身を包み、豪華絢爛な“極楽の宴”で阿倍仲麻呂や詩仙・李白らをも魅了する。どこまでも美しく、そしてミステリアスな美しき王妃、その死が後年、空海と白楽天の時代にどんな影響を及ぼしていくのか?見応え満点のミステリーをぜひスクリーンで体感してほしい。
文/トライワークス