いよいよ劇場版公開!文豪×異能力バトル「文スト」の魅力に迫る
2013年1月号の「ヤングエース」にて連載開始、2016年にアニメ版がスタートされるや、その豪華すぎる声優陣の魅力も相まって、熱狂的なファンを生み出した通称“文スト”こと「文豪ストレイドッグス」シリーズ。いよいよ3月3日(土)には、同シリーズ初となる待望の劇場版『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』もお目見え。その公開に先駆けて、文ストの世界観や魅力を探ってみたい。
タイトルの通り、キャラクターには実在の文豪の名がつけられている。主人公の名前は“中島敦”(短編『山月記』の作者)だが、作中の彼らは作家ではなく、特殊な能力を持った異能力者。例えば敦の場合、能力名“月下獣”を用い、白虎の姿になって戦うキャラクター。これは『山月記』のラストで虎になってしまった登場人物・李徴にちなんだ異能力なのだ。
こうした能力者が集まる組織がいくつかある。その一つが“武装探偵社”、そしてその敵対組織が“ポートマフィア”と呼ばれる凶悪な集団だ。敦は武装探偵社に所属するが、同僚はあの太宰治。またその因縁の相手・芥川龍之介は、ポートマフィアのメンバーとしてたびたび敦と太宰の前に現われる。
太宰の能力名“人間失格”や、芥川の能力名“羅生門”など、各キャラクターがそれぞれの代表作にちなんだ異能力を操って戦う。この知的興奮を呼ぶ設定の数々こそ、「文スト」の大きな魅力のひとつと言えるだろう。
今回の劇場版は、原作者協力のもとに実現した完全新作ストーリー。作品の舞台である架空都市・ヨコハマで、異能力者の奇妙な自殺が連続して起こるようになり、武装探偵社に調査の依頼が舞い込む。この異能力者連続自殺事件への関与が疑われたのは、“コレクター”の異名を持つ澁澤龍彦。消息を絶った太宰の安否を気遣いながら澁澤の身柄確保に乗り出した敦たちだが、ポートマフィアをはじめとする幾多の強敵が行く手を阻む…。
実在の文豪がモデルとあって、そのファンからも注目を集めている文スト。また、それぞれの作品を武器にした文豪たちによるバトルアクションと、謎めいたストーリーが人気を呼び、この作品をきっかけに“推し文豪”の著作に触れたり、縁の地を訪れたりするファンも増えているのだとか。
既に“推し文豪”のいる文学好きはもちろん、ファンならずとも、ますます盛り上がりを見せる“文スト”ワールドをぜひこの機会にチェックしてほしい。
文/藤堂真衣