「映画ドラえもん」に初挑戦!大泉洋がTEAM NACSという“宝物”への想いを語る
今年で38年目を迎えた「映画ドラえもん」シリーズの最新作『映画ドラえもん のび太の宝島』(公開中)。本作で宝島を目指して冒険に出たのび太たちの前に立ちはだかる海賊・シルバーを演じた大泉洋は「ちょうど娘が『ドラえもん』を楽しめる年になってきたので、オファーが来たときに『出たほうがいい?』と聞いてみたら、即座にゴーサインが出ました(笑)」とにこやかに出演の経緯を明かす。
彼の名前を一躍有名にした伝説のバラエティ番組「水曜どうでしょう」や、様々な映画で見せてきた表情とは少し違う“父親”としての表情で語る大泉。これまで多くの子どもたちに夢と勇気を与えてきた「映画ドラえもん」シリーズの原点回帰とも呼べる本作のテーマは「宝物」。大泉にとってそれは“家族”と“TEAM NACSのメンバー”だと語った。
『千と千尋の神隠し』(01)や『バケモノの子』(15)など、多くの作品で声優業に挑戦してきた大泉。「いままでは僕のパブリック・イメージに近い役が多くて、いわゆる悪役を演じることはあまりなかった」と振り返った彼は「父親と子どもの物語が軸になっていて、ちょうど僕の娘も(今回のゲストキャラクターの)フロックやセーラと同世代。共感できる部分がたくさんあって、新鮮でとてもありがたい役を演じさせてもらいました」と感慨深げな表情を浮かべる。
偶然にも「映画ドラえもん」シリーズが始まったのは、大泉自身が愛娘と同じ6歳だったころ。しかし大泉は「テレビや漫画では『ドラえもん』を観ていたけれど、実は映画を観に行ったことはないんですよ」と明かす。「だから正直なところ『映画ドラえもん』に出ることのすごさが実感できなかった」と本音を漏らす。
そんな大泉がドラえもんに出演することを誰よりも喜んだのは、意外にもTEAM NACSのリーダー、森崎博之だったそうだ。「僕が『ドラえもん』に出るという話をしたら、リーダーは『ドラえもん出るのか!羨ましい』って言ったんです。メンバーに羨ましがられるなんて珍しいこと」と振り返る。
現在も地元・北海道でレギュラー番組の仕事を持っている大泉は、誰よりもルーツを重んじる俳優なのかもしれない。2004年にTEAM NACSは東京での役者の仕事もし始める。真っ先にブレイクした大泉を皮切りに、数々の映画やドラマで個性的な演技を披露する安田顕、戸次重幸、先日放送されたTBS系列のドラマ「陸王」での鬼監督ぶりが話題を博した音尾琢真、そして『ミックス。』(16)など話題作への出演が相次ぐ森崎。
まるでのび太たちのように共に切磋琢磨し合い、さまざまな冒険に立ち向かってきた仲間たちが全国区の俳優になってきたことに「5つの点が線になって繋がっていくのが理想だった。ちょっとずつではあるけど、それに近づいて来ている」とうれしそうに語る大泉。そして「僕らは長くこの仕事をしたいんで、遅咲きで全然良いんです」と、チームとしての更なる躍進に胸をふくらませた。
取材・文/久保田和馬