アリシア・ヴィキャンデル、『トゥームレイダー』の過酷な水攻めのシーンを激白
『リリーのすべて』(15)のオスカー女優アリシア・ヴィキャンデルが、『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(3月21日公開)のニューヒロインとして降臨。彼女が演じたララ・クロフトといえば、アンジェリーナ・ジョリーが演じたアクションヒロインのアイコンとして知られるが、アリシアは強靭な肉体を作り上げ、地に足のついたリアルなヒロイン像を打ちだした。
資産家の令嬢ララ・クロフトが、冒険家だった亡き父の遺志を受け継ぎ、神話上の島に隠された“幻の秘宝”を封印する冒険へと旅立つ。
かつてバレエダンサーへの道を志していたアリシアは、アクションへのポテンシャルが高かったそうで、ララを演じるために体を鍛え上げ、体重を約5~6kg増やしたという。
「たくさん食べて、トレーニングをしたの。撮影に入る4か月前から、1週間に6日はジムに通っていたわ。ロッククライミングや、MMA(ミックスド・マーシャル・アーツ)にボクシング、泳いだり、自転車のトレーニングをしたり、アーチェリーを練習したりもしたの。それは、女優業における大きな特権だと気づいたわ。私はずっとバレエをやっていたので、そういったトレーニングを楽しむことができたの」。
アリシアは、アンジェリーナが演じた「トゥームレイダー」シリーズを公開時に観ていたという。「アンジーは、ララ・クロフトをアイコンにしたの。きっと映画やゲームを知らない人でも、ほとんどの人たちがララのことを知っているでしょ。そんなララ役をオファーされて、私がなぜお引き受けしたのか。それは、製作陣の話を聞いて、過去の作品とはかなり違うものがやれると思ったからよ」。
まずは、冒頭のボクシングのシーンで、見事に割れたアリシアの腹筋に目が釘づけとなる。そこから、猛スピードで自転車を駆ったり、緑が生い茂るジャングルで格闘したり、『クリフハンガー』(93)ばりのクライミングシーンにトライしたり、水攻めに遭ったりと、怒涛のようなアクションがノンストップで展開されていく。ケガを負えば激痛に絶叫し、格闘した挙げ句に人を殺せば狼狽するという、血の通ったヒロイン像が共感を呼ぶ。
「たくさん痛みを感じたわ(笑)。何か月にもわたり、私の体はかなり傷ついていた。アザや切り傷がたくさんできたの。でも、一番大変だったのは、冷たい水よ。他のことは、それほど気にならなかったけど、寒い水の中でのアクションは本当にハードだった」。
アリシアは「手を縛られたまま、25回も川の中に放り込まれた」と激白。「スタッフ陣は細心の注意を払ってくれたけど、すごく大変だった。時々浮き上がって空気を吸い、また水の中に入るの。普通のスタントなら、すべて事前に準備ができるけど、水中は予測不能だからかなり疲弊したわ。だからこそ、良い結果が出せたと思う。私は震えていたけどね」。
「チャレンジすることが大好き」というアリシアは、女優業について「限界を広げていくこと」だと言う。「もし、観客が『私の演技に驚かされた』と言ってくれたら、私はとっても幸せよ。だから、私は常にこれまでにやった役柄とは違うキャラクターを作りたいと思っている。過去の作品を振り返り『これなら楽にできる』とか『私はこれが得意なの』と言うのはとても簡単なこと。でも、私はそうありたくはない」。
これまで『リリーのすべて』や『エクス・マキナ』(15)、『光をくれた人』(16)など、アート系作品で味わい深い演技を見せてきたアリシアだが、自身はハリウッドのアクション大作も大好きだと言う。
「私はヨーロッパのアート系映画出身だけど、だからといってハリウッドの商業映画に出演する機会を逃したくないと思っていた。実際、私は『インディ・ジョーンズ』や『ハムナプトラ』シリーズなどアドベンチャー映画をよく映画館で観ていたから。
若い頃、バレエをやっていた時、映画を観て『こういう大きなアクション・シークエンスやスタントをやるのはどんな感じかしら?』と想像を膨らませていたけど、今回それが実現したの。スウェーデン出身の私が、まさかハリウッドの映画産業に身を置けるなんて夢にも思わなかった。それは強烈な体験だったわ」。
取材・文/山崎 伸子