『メアリと魔女の花』につづく新たな挑戦!短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」が発足|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『メアリと魔女の花』につづく新たな挑戦!短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」が発足

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『メアリと魔女の花』につづく新たな挑戦!短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」が発足

昨年夏に公開され興行収入32億9000万円、観客動員数266万人を記録した『メアリと魔女の花』を手掛けたスタジオポノックの新作プロジェクト発表会が27日行われ、スタジオポノック代表取締役の西村義明プロデューサーと、東宝株式会社常務取締役の市川南氏が登壇した。

発表された新たなプロジェクトとは、短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」の発足。スタジオジブリ退職後にスタジオポノックを立ち上げた西村は「前に進んでいくためには挑戦しなければいけない」と力強く宣言し「高畑勲監督と宮崎駿監督が作り出してきた作品のような、アニメーションの豊かさを信じること。そしてディズニーやピクサーが常に新しい表現か新しい技術を実践した作品を作り出してきたことに刺激を受けた」とプロジェクト発足の経緯を明かした。

今後もアニメーション監督に留まらず、実写作品を手掛けてきた監督や海外の監督、さらにほかの業界のクリエイターや新人監督の発掘などに拡大していくことを視野に入れた、アニメ界全体にとって大きな“挑戦”となるこのプロジェクト。その第1弾を飾る今回は、スタジオジブリ出身の3人の監督が“現代のちいさな英雄”をテーマにそれぞれ15分ほどの短編アニメーションを制作し、連作映画『ちいさな英雄 -カニと卵と透明人間-』となって劇場公開される。

監督に抜擢されたのは『思い出のマーニー』(14)や『メアリと魔女の花』を手がけた米林宏昌、原画スタッフとして『火垂るの墓』(88)に参加して以降数多くの作品に携わり『猫の恩返し』(02)の同時上映作品『ギブリーズ episode2』(02)で劇場作品初監督を務めた百瀬義行、そして『ハウルの動く城』(04)や『コクリコ坂から』(11)で作画監督を担当した山下明彦の3名。

米林がメガホンをとる「カニーニとカニーノ」はカニの兄弟を描いた物語。昨年次男が生まれたばかりの米林にとって初のオリジナル作品である本作は、彼の家族をモデルに「誕生」をテーマにした物語となっているようだ。父親として子供たちに贈りたいメッセージを描くことで、彼の作家性が最大限に発揮されることだろう。

そして百瀬が手がける「サムライエッグ」は、西村と百瀬が出会った卵アレルギーを持つ1人の少年と母親の物語を描く実話。ナイーブな題材を扱うことに西村は「僕らはアレルギーというものを世に知らしめたいという思いで作るわけではなく、自分が信じる道で前に進んでいく子供の輝いている姿を描きたい」と明言。スタジオジブリにCG技術を根付かせたベテランアニメーターの百瀬の新たな映像表現に注目だ。

また「透明人間」を監督した山下明彦について西村は「天才」だと形容する。そんな天才アニメーター山下に西村は「動かすものがなかったら、どう描くのか?という一番難しいことを提示した」と明かす。これまで数多くの映画で描かれてきた透明人間の物語を、現代の存在として新たに描き出す意欲作となっているようだ。

さらにキャスト・スタッフとしてオダギリジョーや尾野真千子、田中泯といった実力派俳優に加え、音楽プロデューサーとして国内外のポップシーンを牽引している中田ヤスタカ、そして『思い出のマーニー』と『メアリと魔女の花』で音楽を担当していた村松崇継の名前があげられた。

東宝のアニメーション映画としては初めての試みとなる短編上映。100スクリーンを超える上映を予定しており、入場料金も通常より安く設定する見通しであると市川は明かした。スタジオポノックの新たな挑戦とアニメーションへの熱い想いが込められた『ちいさな英雄 -カニとタマゴと透明人間-』は8月24日(金)より公開される。

取材・文/久保田 和馬

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