戦車にシャンパン、道路にも命名!?偉大な指導者チャーチルってどんな人?
本年度アカデミー賞でゲイリー・オールドマンが主演男優賞を、辻一弘がメイクアップ&ヘアスタイリング賞を見事受賞した話題作『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(公開中)。激動の第二次世界大戦時に、英国の首相に就任したチャーチルの着任からの27日間が描かれる本作だが、そもそも彼はいかなる人物だったのか?映画を観る前に押さえておきたい、伝説的リーダーの意外な人物像を紹介したい。
嫌われ者で読書家、そして動物好き
猫背の肥満体型で、しかめっ面に葉巻をくわえた見た目そのままの、偏屈で気難しい性格で知られたチャーチル。“政界一の嫌われ者”とも揶揄されていた彼だが、首相就任から間もない“ダンケルクの戦い”で奇策を用い、絶体絶命に陥っていた連合軍を救い出すことに成功する。その力強いスピーチで国民を鼓舞し、ナチス・ドイツから世界を救い、一躍国民的英雄となった。
しかし、チャーチルの魅力はその類まれな政治的手腕だけではない。5000冊もの本を読んだとも言われている読書家で、自身でも歴史書などを執筆。生涯で43冊もの著書を残し、なかでも、全6巻からなる回顧録「第二次世界大戦」では、ノーベル文学賞を受賞している。また、印象派の風景画を描く絵描きでもあり、その腕前はロイヤルアカデミーで16回も展覧会を行うほど。アメリカのルーズヴェルト大統領へ自作の絵画を送ったこともあるというのだ。
さらに猫、犬、馬、鳥など様々な動物を飼うなど動物愛好家としての一面も。劇中では、猫を探してベッドの下へ潜り込んだり、テーブルの食べ物を犬に与えたりと、ペットをかわいがる微笑ましい一幕も登場。
ジャンルを超えて冠せられたチャーチルの名
そんな多方面に精通したチャーチルの功績を表すように、彼の名前を冠したものが数多く存在する。愛用の葉巻のサイズは“チャーチルサイズ”と呼ばれて、「ロメオYジュリエッタ チャーチル」という名の葉巻を販売。酒好きだったチャーチルが贔屓にしていたシャンパンブランドのポル・ロジェでは「サー・ウィンストン・チャーチル」という商品が。そのほかにも、大戦中に活躍した戦車の「チャーチル歩兵戦車」や「ウィンストン・チャーチル・アヴェニュー」と名付けられた道路、ジャンルを超えて彼の影響力を伺い知れる。
今作では政治家としてだけじゃない、一人の人間としてのチャーチルが描かれている。奥深いその人間性を知れば、より深くドラマに共感できるはずだ。
文/トライワークス