成海璃子×北乃きい、対照的な役を演じたふたりは実際も対照的?
成海璃子と北乃きい。実力派ティーン女優のふたりが対照的な女子高生役で共演する『武士道シックスティーン』が、4月24日(土)から公開される。幼い頃から剣道一筋で、休み時間には鉄アレイ片手に宮本武蔵の「五輪書」を読む磯山香織と、「剣道は楽しむのがモットー」のお気楽少女・西荻早苗。まさに“剛”と“柔”のふたりが、剣道を通して友情を育みながら成長していく王道の青春映画だ。
だが、これほどタイプの違う女の子同士の間に、果たして友情は成立するのだろうか? と香織を演じた成海に疑問をぶつけると、「私はあんまり友達がいないので(笑)。でも、こういう相手には(タイプに関係なく)なかなか出会えないんじゃないでしょうか」と困惑気味。そこへ年長の北乃が「やっぱり、この年代だからじゃないですか?」と助け舟を出した。
「大人になると“類友”みたいになっちゃいますが、高校生はクラスの中だけでお友達を作っていくわけだから。狭い世界の中でキャラクターの違う者同士がくっついても、普通って気がする。演じていても違和感なかったです」。対照的なふたりの間に芽生えた友情は、“青春時代”の特権というわけだ。
ふたりの友情について、成海が付け加える。「最初は西荻が磯山を追いかけますが、途中で逆転して、磯山が西荻を追いかける。それで磯山が変わっていく。そこが面白いですよね」。そうなのだ。剛と柔。ふたりの性格が正反対なだけに、友情にもどこか男女の恋愛に近い甘酸っぱさが漂う。ラブストーリーとして楽しむ見方もできる映画というわけ。
また、友情とともにポイントとなるのが、剣道。「部活みたいで、お芝居をしている意識があまりなかった。会場も体育館を使ったりと、リアルでしたから」と北乃は振り返る。常に部員たちの輪の中にいる早苗に対して、香織は先輩といえどもライバル心むき出しだ。演じた成海も「撮影中は磯山でいることで精一杯で、全然楽しい現場じゃなかったです。周り全員対自分、って思ってました」と一匹狼の剣道部員になりきっていた。
そんな彼女は、5月15日から公開される『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』にも主演している。このところ、若い世代が日本古来の伝統的なものに関心を持ち始めている気がするが。「どうなんでしょう? 現場では、剣道とか日本の伝統なんて考える余裕がなかったですから」。
すると、「私はくノ一になりたかったです」と北乃が引き継いだ。「お父さんが空手をやってたんで、小さい頃から武道に親しんでいたんですよ。私はバレエを習ってたんですけど、本当は極真空手の方をやりたかったくらい。だから剣道も、たまにやりたくなりますよ」。まさに、取材の応対も役柄どおり剛と柔。対照的なふたりだった。【取材・文/外山真也】