フレディ・ハイモア『グッド・ドクター』で難役にトライ!子役からの転機を語る
『ネバーランド』(04)のピーター役、『チャーリーとチョコレート工場』(05)のチャーリー役などで天才子役と言われたフレディ・ハイモア。彼が自閉症とサヴァン症候群を抱えた青年医師という難役にチャレンジした海外ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』が日本でも放映開始される。「スター子役が大成するのは難しい」と言われるなか、見事に大人の俳優へと成長を遂げたフレディ。インタビューを試みると、誠実な言葉から成功の秘訣が見えてきた。
2013年に韓国で作られた医療ドラマ『グッド・ドクター』をハリウッドでリメイクした本作。自閉症だが天才的記憶力を持つサヴァン症候群である青年医師・ショーンが、偏見や反発を乗り越えながら成長していく姿を描く。自閉症であり、医師であるという役を受け取ったフレディは「ものすごく大きな責任を感じたし、大きなチャレンジだった」と打ち明ける。
「自閉症であるという側面もきちんと表現したいと思って、たくさんの文献を読んだりドキュメンタリーを見たりして研究したんだ。でも最も大事だったのは、ショーンを個性を持った1人の青年と捉えること。もちろん自閉症ではあるけれど、それは彼の一面なんだ。初恋を経験したり、いろいろなことに笑ったり、戸惑ったりと、人間としてあらゆる側面を持っていると考えることが、ショーンを演じるうえでとても大事だったと思う」とショーンの人間性に寄り添った。
その結果、魅力的なキャラクターが誕生。ピュアでまっすぐに人や仕事に向き合うショーンが次になにをするのか、目が離せなくなる。「ショーンは希望を持って世の中を見ているんだ。人の善なる部分を見ている。いま世間には、ネガティブなことがたくさんあふれているよね。だからこそ、ショーンの姿勢はすごく新鮮に映ると思う」とフレディ自身、ショーンから前向きなメッセージを受け取っているという。
またそのピュアさゆえに、威圧的な医師に対して「傲慢なことになんの意味があるの?」とズバリと切り込むなど、ショーンから飛びだす言葉は胸に突き刺さる。「僕たちがいつもは考えたことがないような疑問や質問を投げかけてくるんだ。なんの躊躇もせずにね。それはショーンの大きな魅力だと思う。社会のルールが必ずしも正しいものではないと感じさせてくれるよね。彼はいつだってまっすぐなんだ」。
作中で医師としての道を歩み始めるショーンだが、一方、演じるフレディは子役からキャリアをスタートさせた。“俳優をやっていきたい”と確信したのは、いつなのだろうか。「僕は高校を卒業した時に、俳優業を一度お休みして『大学に進学する』と決めたんだ。その期間があったおかげで、大学を卒業した時には『大人としてきちんとした俳優になりたい』と決断することができた。ずっと子役を続けていたら、そう思えなかったかもしれない」。
「『ベイツ・モーテル』に参加して、ものづくりを続けていきたいと思えたんだ」と殺人鬼ノーマン・ベイツを演じたサスペンス・ドラマが、転機となった作品だという。「ノーマン・ベイツという役を演じるチャンスをもらえたから、俳優を続けていきたいと思えた。ノーマン・ベイツやショーンなどおもしろいキャラクターに出会えて、本当に僕は恵まれているよ。『ベイツ・モーテル』では脚本や監督も担当させてもらって、もっとこういったチャレンジもしていきたいと思ったんだ」。
インタビュー中もニコニコと笑顔を絶やさず、周囲への気遣いも忘れないフレディ。「いろいろな可能性を感じながら仕事に臨んでいる」というが、このポジティブオーラと誠実さが成功の秘訣と言えそう。「僕は、両親と弟の4人家族。とにかく仲がよくて、いつも勇気と元気を与えてくれる。アメリカでは“アメリカン・ドリーム”というくらい、“なんだってできる”という可能性を証明するよね。僕の国、イギリスではそういうことはあまり言わないんだけど、うちの両親はいつも『あなたはなんだってできる』と言ってくれたんだ」と告白。自分を信じてくれる家族の存在こそ、仕事へと向かうパワーの源だ。
『グッド・ドクター 名医の条件』は4月5日(木)よりWOWOWプライムにて日本独占放送
取材・文/成田 おり枝