松坂桃李が『娼年』を経て再確認した、女性観と結婚観

インタビュー

松坂桃李が『娼年』を経て再確認した、女性観と結婚観

『娼年』の松坂桃李にインタビュー
『娼年』の松坂桃李にインタビュー

2018年も俳優として攻めの姿勢を見せている松坂桃李、29歳。「30代に向けて、役柄の幅を広げていきたかった」と公言したとおり、人の心を操る犯罪者を演じた『不能犯』(18)、センセーショナルなラブストーリー『娼年』(4月6日公開)、柚月裕子の警察小説の映画化『孤狼の血』(5月12日公開)と勝負作が続く。今回、公開間近の『娼年』について、松坂に話を聞いた。

松坂が演じるのは、会員制ボーイズクラブの娼夫となった大学生の森中領。リョウは様々な年齢の女性たちと肉体関係を結び、彼女たちの欲望を解放していく。原作は石田衣良の同名小説で、松坂主演、三浦大輔演出の舞台が大いに話題を呼んだが、今度は映画化されるということで、ファンは色めき立った。

舞台を経ての映画化ということで、最初は戸惑いを覚えたという松坂。「舞台をやって、僕も三浦さんもある種、完全燃焼した感があったので、それ以上のテンションで新しく映画に臨むということはけっこう大変でした」と言うが、熱い信頼関係で結ばれた三浦監督と再タッグを組むことに、迷いはなかった。

「三浦さんは本当に嘘の芝居が通用しない人だと思っています。たとえば、ベテランの方々なら、時に省エネの芝居をするという技をもってらっしゃると思うんですが、そういうことが一切通用しない。すべてを見抜かれてしまう。役者としてはうれしいけど、これはしんどいなと思いました。でも、そこがありがたい」。

【写真を見る】松坂桃李が体当たりで挑んだラブシーン
【写真を見る】松坂桃李が体当たりで挑んだラブシーン[c]石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

リョウが女性たちと交わるシーンは実にバリエーション豊かだ。通常、1対1の女性とのシーンだが、西岡徳馬を交えた3人でのシーンは、思わず笑いがこぼれる。「リアクションが3人になるので、スタッフさんが大変だったかもしれないです。僕は、西岡さんが入ってこられた時、『あ、乳首ドリルの人だ!』と思ってしまいました(苦笑)。もちろん、口には出さなかったけど」。乳首ドリルは、バラエティ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で西岡が披露した衝撃ネタのことだ。

「最高でした!尊敬を込めて言いますが、あれだけ全力でやって、しかもクオリティが高くて、返しもバッチリというのはすごいことだと思いました。でも、この作品的にちょっと毛色が違うと思ったので、言えませんでした」とおちゃめに笑う。

やがてリョウは、オーナーの静香に思いを寄せていく
やがてリョウは、オーナーの静香に思いを寄せていく[c]石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

また、リョウ役を経て、松坂の女性観は変化しなかったのだろうか?「再確認したというか、改めて気づかされた部分が大きかったかもしれないです。僕は姉と妹の間で育ってきた分、女性がリラックスしている姿を20年間くらい見ながら育ってきましたが、女性は年齢問わずしっかりしていて、何歳になっても女性なんだと思いました」と語る。

さらに「劇中の女性の方たちは年齢層がバラバラだし、職種も違うけど、女性の繊細な部分はずっと持ち続けている。いろいろな環境のなかでいろいろな知識を得て、嘘が上手くなったり、我慢強くなったりしていくけど、中身はやっぱりきれいな女性の心がちゃんと残っているんですよね」とうなった。

また、女性の欲望についても「男性はわりとむき出しな人が多いけど、実は女性同士の会話は男よりもすごかったりするし。欲望をしっかり持っているところも良いのですよね」と確認するようにうなずく。

「ここまで精神的に追い込まれた作品はない」と言う松坂桃李
「ここまで精神的に追い込まれた作品はない」と言う松坂桃李

また、結婚観について尋ねると「結婚したいと思っていますが、いくつくらいがいいんでしょう?まあ、30代じゃないですかね。僕の周りで結婚している人だと、柳楽優弥や濱田岳がいますが、『早くこっちに来て話そうよ』という感じです。学校問題や保育園の話とか、大変そうな話題もあがりますが、そういう会話も楽しそうだなと思います」。

ドラマ「ゆとりですがなにか」で共演した柳楽や岡田将生たちとは旅行に行ったり、食事に行ったりと、いまでも交流がある。「お互いに年代が近いので、彼らの作品を観て嫉妬もするし、羨ましくも思う。彼らは自分では真似できないような芝居をされるから、すごく良い刺激を受けています。また、自分も刺激できるような存在でありたいなとも思う。あのメンバーとはこれからも一緒に年を重ねていきたいです」。

取材・文/山崎 伸子

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