女優・小雪の危険な恋? 母親とひとりの女、その美しさにホレボレ
09年、『ラスト・ブラッド』『カムイ外伝』『わたし出すわ』と立て続けに映画出演を果たした小雪。そんな彼女の、2010年最初の映画作品となるのが5月15日(土)より公開の『信さん 炭鉱町のセレナーデ』である。抜忍や、ちょっとクールな謎めいた女など、いろいろな役柄をこなしてきた彼女だが、今回挑戦するのは“母親”。しかも、息子の友達から恋心を寄せられるという、ちょっぴり危険な香りが漂う美しい母親役なのだ。
昭和30年代の福岡を舞台に、とある炭鉱町で貧しいながらも力強く生きる人々の姿をつづるヒューマンドラマ。息子の守と共に、故郷の福岡に戻ってきた美智代は、ある日、悪ガキに絡まれている守を、“信さん”と呼ばれる少年に助けてもらう。親を亡くし、親せきから厄介者として扱われていた信さんは、それを機に優しく接してくれる美智代に恋のような特別な感情を抱くようになっていく、という物語。
この美智代役をしっとりと落ち着いた雰囲気で演じる小雪。これまで、キャラクターの立った役柄が多かったせいか、こういった役柄は良い意味で普通に見えて新鮮だ。雪が降りしきるなか、新聞配達に勤しむ少年の信さんを「手が冷たいね。なかで温まっていく?」と優しく声をかけるなど、相手は息子ではなくともその表情は母そのもの。泣きじゃくる信さんを、後ろからぎゅっと抱きしめるシーンも、母親代わりのような包容力を感じる。それとは逆に今度は、青年へと成長した信さんからぎゅっと抱きしめられる場面では、女の顔へと変化。母親とは違う、憂いを帯びたような困惑しているような表情を見せてくれている。
女優・小雪が、母親、ひとりの女を丁寧に演じ分ける本作。男らしい姿へと成長していく息子と、その友達の信さんとが、そんな彼女を奪い合い? なんていうシーンがあるのかは観てのお楽しみだが、小雪の美しさと演技達者ぶりを再確認できるのは間違いない。【トライワークス】