『わたし出すわ』で小雪が森田芳光監督を鋭く分析!

インタビュー

『わたし出すわ』で小雪が森田芳光監督を鋭く分析!

小雪が映画『わたし出すわ』(10月31日公開)で、自分のお金を惜しげもなく人に差し出すヒロイン摩耶役を好演。本作は森田芳光監督が『(ハル)』(96)以来13年ぶりに手掛ける完全オリジナル作品だ。今回、映画単独初主演を務めた小雪が、森田監督独自の演出について語った。

まずは、森田監督からどんな形でオファーを受けたのかを聞いてみた。「最初に『小雪さんしか考えられないので、小雪さんが感じるようにお願いします』って森田監督に言われて。それがすごく難しかったです」。

旧友や、自分が恩を受けた人々に、見返りも求めずに大金を与えていく摩耶は、ある種、女神や天使のような存在に思える。役作りはどんなふうに行ったのか? 「摩耶の背景については監督とちょっと話をしました。でも後は現場に入って、監督の中で出来上がってる摩耶像を私がどう具体化し、映像として出していけるか勝負! って感じでした」。

現場では、どんなことを心掛けて臨んだのだろう? 「常にゼロにして現場に入るようにしました。いろいろ考えると芝居が進まないから、すべてを取っ払ってやらなきゃいけなかった。そういうの、悩みましたね。すごく抽象的な説明をされる場合もあれば、『僕、(テークの)4番目と、最初のニュアンスが好きなんだよ』とか、物理的な指示も入るので、考え始めるとなんだかよくわからなくなる時があって」。

森田監督の演出についてさらにこう分析する。「弱いとか、強いとか、そういう監督の言葉の意味を拾って考えない方がいいみたい。森田監督って、その人がその時に感じてるものが自分のイメージに近いかどうかを、感覚でとらえる方なんです。とはいえ、感覚だけに頼って台詞を決めることはなくて、とっても計算されてる。感性、理性、知性がすごくうまく混ざってるタイプの監督だと思います。面白い時間でした」。

映画単独初主演作を通じて、何か手応えは感じたのだろうか? 「わからないですね。私、どんな作品でも手応えってないんです。いつも足りないと思ってる。でも、その時の自分のすべてがレンズに投影されることはわかってるので、後悔はないです」。

どこか浮世離れしたところがある摩耶。小雪が醸し出す透明感は、摩耶の神秘的な魅力を一層引き立てている。森田ワールドに溶け込んだ小雪の新鮮な表情をたっぷりと堪能したい【Movie Walker/山崎伸子】

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