樹木希林のお茶目な素顔!『モリのいる場所』から貴重なメイキング風景が到着
『南極料理人』(09)や『横道世之介』(13)で知られる俊英・沖田修一監督が実在の画家・熊谷守一(モリ)のエピソードをもとに、魅力的な夫婦の生き方を描き出した『モリのいる場所』。このたび本作から、妻・秀子を演じる樹木希林の貴重な撮影風景を映し出したメイキング映像と、モリ夫婦ののどかな暮らしを写した場面写真が到着した。
物語の舞台は昭和49年の東京。30年間自宅の庭を探検しつづけ、生きものたちを観察しては絵に描く画家のモリ。彼は50年以上連れ添っている妻の秀子と、呼んでもいないのにひっきりなしにやってくる人々に囲まれて暮らしていた。そんな中、モリ夫婦の暮らしに突如マンション建設の危機が忍び寄る。陽がささなくなれば庭にいる生きものたちは行き場を失ってしまうと考えた夫婦は、ある選択をすることに…。
『天国と地獄』(63)や『赤ひげ』(65)などの黒澤明監督作品で注目を集め、約半世紀以上にわたり一線級で活躍する名優・山崎努と、ドラマ「寺内貫太郎一家」や「ムー一族」など70年代から高い人気を誇る樹木希林。日本の俳優界を代表する2人は同じ劇団「文学座」の出身でありながら、意外にも本作が初共演。2人の息ぴったりな夫婦像には、自然と惹きこまれてしまうことだろう。
このたび到着した映像は、沖田監督をはじめとした大勢の撮影スタッフに囲まれて和やかに談笑している樹木の姿からはじまる。そして、いざ本番が始まろうとした矢先、衣装スタッフのある特徴に気が付き「ほら見て!」と周囲の注意を向けさせるお茶目な一面を見せる樹木。
それでも本番がスタートすれば一瞬で演技へのスイッチが入り、さらにカットがかかればすぐさま本番前の和やかな表情に変わり、周囲のスタッフを笑顔にさせる樹木。映像の冒頭に出る「日本映画界 唯一無二の存在」という言葉に違わない大女優の貫禄が、この短い映像の中でも存分に感じられる。
また、あわせて到着した場面写真では、生活感にあふれた台所で朝食の支度をしていたり、居間で縫い物をしている秀子の姿。さらに夫モリとの日課であるルール無視の囲碁に興じたり、洗濯物を干す秀子の横で庭に“冒険”に出かけようとするモリの日常の姿が収められている。
山崎努と樹木希林、2人の名優にしか醸し出すことのできない空気感が流れる心温まる夫婦の物語。本作を通して日本映画のこの上ない魅力をあらためて感じていただきたい。『モリのいる場所』は5月19日(土)から公開。
文/久保田 和馬