櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰に直撃インタビュー!『ラプラスの魔女』を体現するアプローチとは?
「ガリレオシリーズ」や「新参者シリーズ」などで知られる東野圭吾が作家デビュー30周年を記念して発表した異色のミステリー小説を、『ヤッターマン』(09)や「土竜の唄」など数多くのヒット作を生みだしてきた三池崇史監督が映画化した『ラプラスの魔女』が、5月4日(金・祝)より公開中だ。
本作で初共演を果たしたのが櫻井翔と広瀬すず、福士蒼汰の3名だ。初めて大学教授役に挑戦した櫻井に、物語の鍵をにぎるミステリアスな役柄を演じた広瀬と福士。それぞれ新境地となる役柄に挑んだ彼らを直撃し、役作りの裏側を聞いた。
本作は生真面目な大学教授・青江修介が警察からの依頼を受けて、とある死亡事故の現場に出向くことから始まる。屋外での硫化水素中毒という、科学的には考えられない事態に疑問を抱く青江の前に、羽原円華という女性が現れる。未来に起こる自然現象を言い当てる彼女は、事件の真相を知る甘粕謙人という青年の行方を追っており、青江に協力するよう頼み込むが…。
『神様のカルテ2』(14)以来の単独主演映画となる櫻井は、04年にNHKで放送されたドラマ「トキオ 父への伝言」以来、14年ぶりの東野作品出演となった。稀代の人気作家である東野が「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」と語るほどの野心を込めて作りだした本作。その主人公となる青江を演じるうえで櫻井はどのように役になりきったのだろうか?
「監督からは“探偵っぽくなりすぎず、刑事でもない”ということ以外具体的な指導はなかったんです。でもNGとは言わずにどんなカットもOKしてくださるので、これも間違いじゃないんだ!と、台本から感じ取れるままに演じることができました」と明かす櫻井は「具体的な役作りとしては、(広瀬演じる)円華に振り回されるような役だったので、大学教授という設定でも少し抜けているような部分が出せるように意識しました」と続けた。
一方で「原作を読んだときに、どうやって実写で表現されるのか楽しみだった」と振り返った広瀬は、東野作品への出演も三池監督とのタッグも本作が初めて。彼女は「円華がどうして10代の設定なのかと思うくらい大人っぽくて、とても疑問に思っていました」と自身が演じる役柄の第一印象を明かした。
それでも、演じていくうちに「この年齢だからこそ、特殊な力を持ってることに複雑な気持ちを抱いている部分や、良いことか悪いことかを迷っている部分があることがわかってきたんです」と、難しい役柄を着実に吸収していった広瀬。撮影中も「何度も監督に『これで大丈夫ですか?』と確認しながら演じていました」と真摯に役に臨んでいたとのことだ。
そんななか、福士は「原作を読んで登場人物ひとりひとりの魅力に惹かれました。映画になったことで、実写版としての面白みも出ていると思います」とにこやかに語る。これまで『神様の言うとおり』(14)と『無限の住人』(17)で三池とタッグを組んできた福士は、甘粕謙人という役を演じたことについて「三池監督の作品は影のある役を演じることが多いんです」と笑う。
2011年に「仮面ライダーフォーゼ」でデビューした福士の代名詞と言えば、キレのあるアクションと、甘いルックスを活かした恋愛劇のどちらかだろう。「でも自分にも影の部分がありますから(笑)」と明かす福士は「そういう意味では恋愛ものの作品に比べて自然に演じられるので、この作品ならではのやりがいや楽しみがすごくありました」。
“感受性”の櫻井と、“探求心”の広瀬、そして“自然体”の福士。人気・実力ともに同世代をリードする彼らが三者三様のアプローチで体現した、予測不能なサスペンス『ラプラスの魔女』。今年の日本映画を代表する1本となることは間違いないだろう。
取材・文/久保田 和馬