『G-レコ』富野由悠季監督にインタビュー!「大事なのはアイーダとベルリの姉弟話」【前編】
「今回の新作で初めて子どもたちに観せられるバージョンになった」
――今作がただの編集版ではなく、新作になっている気分がしたそうですね。
富野監督「1本目が一応完パケした時に、正直作っている自分がビックリしたことがあるんです。これでようやく『G-レコ』の1本目が出来た。つまり回顧版じゃないんです。テレビシリーズというのが0号試写でしかなくて、完成品ではなかったんだなって。だから完成品にしたかった。だから5年前が基準じゃない。それで、今回の新作で初めて子どもたちに観せられるバージョンになったなと思ってます。その一番の理由というのは、映像的にこのくらい目先が変わるものだったら、きっとYouTubeとかTikTok慣れしているような子どもたちでも観てくれる。この映画だったら、ひょっとしたらロボットアニメを好きでない子どもでも『あれ?これ変だよね』『ロボットもの?』という入り方をしてくれる。完全に新しい映画になっているという感覚を僕は受けたんです」
――テレビシリーズ開始当初のポスターはG-セルフが大きく描かれていますが、今回の劇場版ではキャラクターたちがメイン。本作で観せたいドラマがどこにあるのか、象徴的になっています。
富野監督「そうです。下絵を出している頃は第1部の完パケは見えていなかったので、怪しかったんだけど、このポスターのプランができた時に、これでいければ間違いない、これで勝つなと感じました。少なくとも『機動戦士ガンダムNT』には勝つと。僕にとっては仮想敵ですから。『ガンダム』のコアなファン層は40代です。そういうところをターゲットにしてしまうと、どんどん先が無くなってしまいます。だから『G-レコ』は子どもたちをターゲットにしたわけです。だから『ガンダム』ファンは観なくてもいい。ただお願いがあります。お父さんお母さんはガンダム世代だからわからない。でも『G-レコ」って全然違っていて、おもしろいらしいよ』という話になった時には、ダマされたと思ってお子さんたちには『映画を観るだけのお金をあげるから観てごらん』と言って勧めてください」
<後編に続く>
取材・文/小林治